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令和 4年 9月定例会本会議-09月30日-04号

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  1. 長野県議会 2022-09-30
    令和 4年 9月定例会本会議-09月30日-04号


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    最終取得日: 2023-06-16
    令和 4年 9月定例会本会議-09月30日-04号令和 4年 9月定例会本会議 令和4年9月30日(金曜日)  出席議員(55名)   1 番 望月義寿    28 番 両角友成   2 番 小林君男    29 番 清水純子   3 番 小林あや    30 番 小池久長   4 番 原 健児    31 番 丸山大輔   5 番 清水正康    32 番 酒井 茂   6 番 加藤康治    33 番 堀内孝人   7 番 川上信彦    34 番 石和 大   8 番 山田英喜    35 番 依田明善   9 番 大井岳夫    36 番 小島康晴   10 番 花岡賢一    37 番 小林東一郎   11 番 池田 清    38 番 毛利栄子   12 番 熊谷元尋    39 番 和田明子   13 番 百瀬智之    40 番 諏訪光昭   14 番 山口典久    41 番 山岸喜昭   15 番 小山仁志    42 番 丸山栄一   16 番 丸茂岳人    43 番 小池 清   17 番 竹内正美    44 番 宮本衡司
      18 番 竹花美幸    45 番 清沢英男   19 番 宮下克彦    46 番 鈴木 清   20 番 大畑俊隆    47 番 高村京子   21 番 共田武史    48 番 宮澤敏文   23 番 荒井武志    49 番 西沢正隆   24 番 埋橋茂人    50 番 風間辰一   25 番 続木幹夫    51 番 佐々木祥二   26 番 中川博司    52 番 向山公人   27 番 寺沢功希    54 番 本郷一彦   55 番 萩原 清    57 番 望月雄内   56 番 服部宏昭  欠席議員(2名)   22 番 髙島陽子    53 番 平野成基         ─────────────────── 説明のため出席した者   知事        阿部守一    林務部長      吉沢 正   副知事       関昇一郎    建設部長      田中 衛   産業政策監     伊藤一紀    公営企業管理者   企画振興部長    清水裕之    職務執行者・企   須藤俊一   総務部長      玉井 直    業局長   県民文化部長    山田明子    財政課長      高橋寿明   県民文化部こど   野中祥子    教育長       内堀繁利   も若者局長             警察本部長     小山 巌   健康福祉部長    福田雄一    監査委員      田口敏子   環境部長      猿田吉秀   産業労働部長    林 宏行   観光部長      渡辺高秀   農政部長      小林安男         ─────────────────── 職務のため出席した事務局職員   事務局長      村松敏伸    議事課主事     松橋高志   議事課長      矢島 武    総務課課長補佐   宮島文明   議事課企画幹兼   蔵之内真紀   兼庶務係長   課長補佐              総務課担当係長   津田未知時   議事課担当係長   矢島修治    総務課主事     古林祐輝         ───────────────────  令和4年9月30日(金曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(丸山栄一 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(丸山栄一 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、石和大議員。       〔34番石和大君登壇〕 ◆34番(石和大 君)おはようございます。  私は、今年度、決算特別委員会に所属し、決算審査を行ってまいりました。現地調査において調書の表記訂正が3回あり、そのうち1回は口頭による訂正でしたが、非常に驚きをもって受け止めました。決算からかなりの期間が経過しているにもかかわらず審査当日になって決算調書の表記に訂正が生じるということは、決算数値の信頼性に関わることであり、執行部においては慎重かつ確実な決算数値のチェックを行うように求めるものであります。  決算の審査は議会の重要な権限の一つであり、議会としても決算機能の充実を図る必要があると考えているところであります。県民参加型の予算とともに、議会に対しても事業成果について評価分析し、議論し、次年度の予算に反映させる仕組みを提案したらどうかと考えます。議会は予算を議決していますから、どのように使うかは把握しているわけです。その議会が評価分析するほうが効率的で、的確な分析ができます。もちろん、議会の体制づくりが必要であり、これからの課題だという視点を持っています。  さて、先ほど触れました決算特別委員会における資料修正について、デジタル化の恩恵は受けられないものでしょうか。議会においても、議員へのタブレット端末を配置することにしており、ペーパーレス化、資料の迅速な共有など、そのメリットが期待されるところであります。  県においては、本年7月に新情報システムを導入して、新しい働き方を実現する次世代の職場、場所や時間にとらわれない働き方を標榜し、デジタルデバイスをはじめ、通信環境、セキュリティーなどのインフラ環境を整備したとお聞きしており、県行政の生産性向上に大いに期待するところであります。  かように進むデジタル化に関連して、現在の日本が抱える課題に触れながら質問に入ります。  将来の人口減少社会への対応は、日本において避けて通れない課題となっており、政府レベルでの対応に加えて、長野県においても、将来の世代につなげるため、しっかりと継続的な対応が必要であります。  少子化対策、子育て支援、人口流出減・流入増対策、担い手確保など、人口を増やしたり人口減少をできるだけ食い止めるための様々な対応策を講じることはもちろんですが、私は、それと併せて、現実に人口減社会に直面しつつも、県民生活の利便性が確保される。またはさらに向上させることができる。また、経済活動が維持され、生産性が落ちない。またはさらに向上する。そうした長野県の経済社会づくりを目指したいわゆるデジタルトランスフォーメーションへの挑戦、取組の継続が非常に重要ではないかと考えます。この点は、阿部知事におかれても、知事選でお示しされた政策集の中において、また、議会冒頭での知事の提案説明の中においてもDXの積極的な推進などに触れられているところです。  そこで、県におけるDXの取組について質問をいたします。  まず、これまでの取組の実績、成果について質問をいたします。県では、一昨年の令和2年に長野県DX戦略を策定し、現在2年が経過したわけであります。既存従来の仕組みからの変化、トランスフォーメーションには、利害関係者との調整も必要となりますので、時間を要することも考えられますが、これまで、戦略を推進してきた中で、具体の変化、トランスフォーメーションの実績、成果は出せているのでしょうか。また、その実績を踏まえた現時点での長野県DX戦略の評価と今後の見通しについて清水企画振興部長に伺います。  次に、データの利活用について質問いたします。  データは、人、物、金と並ぶ新たな経営資源と言われたり、その社会的価値から新たな石油と例示されたりもしています。こうしたデータ資源を所有している行政も含めた各主体において、経営やサービス提供の改善に役立てていくことは徐々に当たり前になってきているわけですが、データが持つ価値を最大限に引き出し、活用していくために、データの利活用のやり方そのものを変革していく、それによって新しいイノベーションの創出を促進していくことも必要だと考えます。  今般の補正予算の事業の一つとして、データ連携基盤構築事業が計上されておりますが、データの利活用に関する県の取組について清水企画振興部長に伺います。  次に、水防資材の関係についてお伺いいたします。  ここ数年、県内各地はこれまで経験したことのない記録的な大雨や頻発する局地的な集中豪雨によって甚大な被害が発生しています。特に、令和元年の台風19号災害では、県内に初めて大雨特別警報が発表され、千曲川流域において堤防決壊や氾濫など広範囲に甚大な被害が発生し、東信・北信地域を中心に、県内で住家被害約7,000戸、浸水被害1,360戸の大洪水に見舞われました。近年にない大規模な水害を受けて、現在も、国、県、市町村の各機関が連携して信濃川水系緊急治水対策プロジェクトに取り組んでおり、千曲川本川の堤防の越水防止など河川整備を含む防災・減災対策を推進していただいているところです。  これまでも本会議場で台風災害関連の質問に立ちましたが、今回は災害対応への備えについて伺います。  今後も頻発化していく豪雨災害、洪水災害に対しては、消防団による水防活動や災害発生時の応急対応への備えが重要です。国、県が管理する道路、河川、砂防等の応急対応は迅速に地元業者に対応していただいておりますが、消防団をつかさどり、数多くの道路と河川を管理する市町村においても、水防活動、通行不能となった道路の交通確保、決壊した護岸の仮復旧、浸水時の排水など多くの応急対策を迅速に完了させて速やかに地域住民の安全、安心を確保することが求められます。  このため、水防活動や災害発生時の応急対応について日頃から県と市町村とで水防資材の備蓄状況を共有しておき、円滑な水防活動や迅速な応急復旧に役立てるように備えておくことが重要だと考えております。  そこで、県が備蓄する水防資材の市町村との情報共有に関して、現状と今後について建設部長に伺います。  続いて、インクルーシブ教育と障がいのある子供たちへの切れ目のない支援についてであります。  先般の決算特別委員会現地調査において、上伊那地域に伺いました。その際、上伊那地域では、特別支援学校で学ぶ子供たちは皆副学籍としているとの話をお聞きしました。副学籍は、特別支援学校で学ぶ子供たちが、可能な限り地域の小中学校に通う同世代の友達と共に学び、また、将来にわたる関わりを育むため、市町村が居住地域の小中学校に副次的な学籍を置く制度であります。  私の小中学校時代を思い返しますと、隔てられていたように思われますが、現在、こうした副学籍による取組により学校行事に参加するなどの交流が行われていることは、特別支援学校の子供たち、小中学校の子供たち双方にとって大変よいことになりますし、今後の共生社会を築いていく上でその大事な基礎となる感性を育むよい機会であると考えております。  そこで、県内市町村における副学籍の現状、また、成果と課題、今後の取組について教育長に伺います。  次に、発達障がいなど障がいのある中学生の高校への進学に当たっての質問であります。  県教育委員会による「令和3年度発達障がいに関する実態調査の結果について」によれば、平成15年度の調査開始から、小中・義務教育学校全体における発達障がいの診断、判定を受けている児童生徒の割合は、平成15年度の調査開始から毎年増加しているとのことであります。  私は、平成30年の6月県議会において、発達障がいのある子供たちが高等学校に進学する等への早期の進路指導と、進学した際の支援がどのように行われているかについて質問をいたしました。その当時に比べて現在の取組は大変進歩してきていると感じておりますが、先ほどの調査結果にもありますとおり、発達障がいのある生徒が増加している現状にありますし、そのほかの障がいのある生徒にとっても高校進学の希望は強くなっているのではないかと考えております。  そこで、発達障がいを含め、障がいのある中学生の進路選択に当たり、高等学校への進学を希望する生徒は多くなっていると思われますが、高等学校での受入れ態勢はどのように整備されているのか。教育長に伺います。  続いて、特別支援学校の子供たちの卒業後の進路についてであります。  特別支援学校で学ぶ子供たちの卒業後の進路は、進学、就職、施設の利用など様々ですが、どのような形であっても進路の選択に当たって行き届いた支援があることは、子供たちの人生にとって非常によい効果をもたらすと考えております。そこで、特別支援学校においては、卒業後の自立や社会参加に向けた教育や進路指導が行われていると認識しておりますが、特別支援学校高等部卒業者の進路について現状と課題を教育長に伺います。  障がいのある児童生徒が社会に出て有為な存在として活躍する、そうした誰もが居場所があり認め合える共生社会の実現のため、各部局が連携して取り組んでいただくことを希望し、次の質問に移ります。  松くい虫被害の伐採等についてであります。  長野県における松くい虫の被害は、昭和56年度の被害確認以降、年々増加。被害防止対策の成果によって減少傾向にあるものの、全国的に最も被害が多い状況であると聞いております。県内の地域別では、特に松本地域の被害量が最も大きく、県全体の43%を占めているとのことであります。  私も、現地調査などで県内各地を訪れておりますが、特に長野自動車道の筑北パーキングエリア周辺では広大な山林が赤く立ち枯れている、また、立ち枯れてから時間がたち白くなっている景色が広がっており、こうした状況を目の当たりにしますと胸が痛みます。観光などで他県から訪れた皆様も大変驚かれているのではないでしょうか。自然豊かな山岳リゾートを標榜する我が県のイメージを損なっていないか、大変心配しているところであります。  そこで、伺います。今申し上げましたとおり、筑北パーキングエリア付近で松くい虫により枯損したアカマツが非常に目立つ状況となっておりますが、この被害の現状と対策について林務部長に伺います。  また、こうした松くい虫被害木を木質バイオマス発電の燃料として利用することが可能ならば、積極的に活用して被害地の整備に貢献すべきと考えますが、県内の木質バイオマス発電所での受入れ態勢や被害木の活用状況について、林務部長に伺います。  もう一点、来年度以降の継続が必要と判断された森林づくり県民税を松くい虫対策に集中的に活用できないか。林務部長に伺います。  続いて、水田耕作におけるアメリカザリガニの被害についてであります。  記憶をたどりますと、私も幼少の頃、隣村の池にザリガニがいると聞き、近所の仲間を誘って竹ざおの先にスルメをつけてザリガニ釣りに興じたことがあります。そんなザリガニが地域の農業において大変大きな問題となっております。  私の地元、東御市の北御牧八重原地区は、県内でも有数の良質な米が生産される産地として有名でありますが、その米が生産されている水田において、本年5月に改正された外来生物法に基づき今後特定外来生物に指定される見込みのアメリカザリガニによる農業への被害が問題となっており、地域においては深刻な課題と捉えております。  私も、9月上旬に、八重原地区の住民有志により開催されました捕獲したアメリカザリガニの試食会に参加させていただきました。市内の中国料理人を招いて調理された料理に舌鼓を打ったわけですが、その際、直接住民から、水田に作付けられた稲を切ったりあぜに穴を掘ったりする被害が増加している被害実態をお聞きし、駆除の必要性を感じたところであります。そこで、東御市八重原地区などにおけるアメリカザリガニによる農業被害の現状と、県としてその対策にどのように取り組んでいるのか。農政部長に伺います。       〔企画振興部長清水裕之君登壇〕 ◎企画振興部長(清水裕之 君)私には2点お尋ねをいただきました。  まず、DX推進の実績とDX戦略の評価及び今後の見通しについてです。  DX戦略の策定以降、庁内においては全部局長により構成する先端技術活用推進会議の設置など、部局横断体制を整備して取組を進めてまいりました。また、外部との連携を重視し、県内全市町村が参加する先端技術活用推進協議会を設立し、行政手続のオンライン化や防災などをテーマとするワーキンググループを開催してきたほか、県内外の企業と連携を図るDX戦略推進パートナー連携協定制度を創設し、民間のデジタル人材を確保するなど、市町村や民間企業とともにDXを推進してまいりました。  その結果、本年度の主な成果といたしまして、約8,000人の県職員が利用する新たな情報システムが7月に本格稼働し、テレワークやテレビ会議を活用した新しい働き方が浸透してきているほか、県内全市町村と県による協働電子図書館「デジとしょ信州」が8月にサービスを開始しました。これは、全国初の取組であり、国が実施しました「夏のDigi田甲子園」におきまして全国5位という好結果を残しております。このように、これまでの取組が着実に実を結んできているものと認識しております。  今後でありますが、DX戦略は今年度末が期限となるため、現在新しい戦略の策定に向けた検討を進めております。新たな戦略においては、これまでの取組を加速化し、DXによる利便性の向上を実感してもらえるような成果の創出、また、より中長期的な視点から、最先端技術を用いた地域課題の解決にもチャレンジしていきたいと考えており、DXによる変革の歩みを着実に進めるべく、具体的な施策を盛り込んでまいりたいと考えております。  続きまして、データ利活用に関する県の取組についてです。  議員御指摘のとおり、デジタル社会の実現に向けては、データをいかに有効に活用するか、できるかが鍵になると考えております。そうした認識の下、県では、容易にデータ利活用可能な社会を目指すための環境整備として、データ連携基盤の構築を予定しております。県や市町村が保有するデータを一元的に集約し外部との連携を可能にする基盤を構築することで、県内自治体や県内外の事業者、研究機関によるデータ利活用を促進していきたいと考えております。
     具体的には、まずは東京大学などと共同研究している洪水予測に資する水位・雨量データについて、県と市町村が個別に保有するデータを統一化することから始め、防災・減災対策で活用可能な環境を整備します。  あわせて、本年7月にデータ連携基盤の構築に向けたワーキンググループを設置したところであり、市町村とともにデータのさらなる活用方法や取り扱うデータの分野拡大等について検討を進め、県民生活の向上に資するデータの利活用や新たなサービスの創出を促進してまいります。  以上です。       〔建設部長田中衛君登壇〕 ◎建設部長(田中衛 君)県が備蓄する水防資材の市町村との情報共有に関するお尋ねでございます。  県の水防資材の備蓄状況は、県内各地で大規模災害が発生した場合に圏域を超えて資材を融通できるよう出水期前に建設事務所の間で共有しており、緊急時には、建設事務所が窓口となり、市町村からの相談に応じて必要な資材を貸与するなど、被災状況に即した対応をしているところでございます。  議員御指摘のとおり、あらかじめ県有資材の備蓄状況について資材の種類や備蓄数などを市町村と情報共有することは、円滑な水防活動や災害発生時の迅速な応急対応に役立つものと認識しております。今後は、市町村を含めた水防資材のマッチングに役立てるよう、県内10圏域で出水期前に開催する大規模氾濫減災協議会等を通じて相互に備蓄状況を共有するなど、水防管理者である市町村と緊密に連携し、有事の際により迅速かつ適切な水防活動ができるよう体制の充実に努めてまいります。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君)3点御質問をいただきました。  特別支援学校児童生徒の副学籍制度の現状、成果と課題、今後の取組についてのお尋ねでございます。  まず、本県における現状でございますが、平成17年度に駒ヶ根市で取組が始まり、本年度は特別支援学校に通う児童生徒が居住する66市町村のうち64市町村でこの制度が導入されております。  副学籍制度の導入により、特別支援学校の子供たちは、地域での存在感を感じながら同年代の友との関係を広げ、小中学校の子供は、障がいに対する理解を深め、共生社会につながる行動力や豊かな人間性を育む姿が見られた等多くの成果が報告されております。  例えば、副学籍校のクラスの子供たちが音楽会へ一緒に出るように誘い、不安に感じている特別支援学校の児童に、間違えてもいいんだよと励ましながら楽器を一緒に演奏した例や、肢体不自由の児童が副学籍校の登山に参加し、ボランティアや友達の力も借りながら登頂を果たしたなどの例があります。  課題としては、交流内容が形式的なものにとどまらないように一人一人の実態に応じた内容に深めていくことや、コロナ禍にあって交流機会自体が少なくなっていることなどが挙げられます。  今後、県教育委員会では、市町村や小中学校へ副学籍の取組に関する好事例を発信するとともに、ICTの効果的な活用による多様な実施方法に関する助言、支援等を行い、より深い交流の実現に努めてまいります。  障がいのある生徒の高等学校での受入れ態勢の整備についてのお尋ねでございます。  障がいのある生徒が県立高等学校への入学を希望する場合には、在籍する中学校や特別支援学校、志願先の高等学校及び県教育委員会との間で早期から十分に連携を図り、選抜時には、視覚に障がいのある志願者には点字による出題及び解答、書字障がいのある志願者には長文記述でのタブレット使用など、個々の状況に応じた配慮を実施しております。  また、合格後は、義務教育段階の支援状況の引継ぎを行い、支援計画の作成、昇降機や点字ブロック等の施設整備、専門的な知識を持った教員の配置などの受入れ準備を整えるとともに、特別支援コーディネーターの配置、職員研修による特別支援教育への理解と支援力の向上、特別支援学校職員による巡回相談などの外部サポート、特別支援学校との教員人事交流、県内3校への通級による指導の導入など、校内支援体制の充実も図っております。今後も、障がいのある生徒も含め、全ての生徒に等しく受検機会が保障され、多様性を認め合い、共に学ぶ高校生活が送れるよう、個々の状況に応じた柔軟な対応に努めてまいります。  特別支援学校高等部卒業者の進路の状況と課題についてでございます。  まず、令和3年度における特別支援学校高等部卒業者の進路は、卒業生354名のうち、進学5名、就職104名、施設利用236名、就職活動中などのその他が9名となっております。特別支援学校では、生徒が自らの進路について自己選択、自己決定し、希望する進路が実現できるよう、進路指導主事や学級担任等が施設、企業の見学実習などを通したキャリア教育を行っております。  特に、就労を視野に入れた生徒へは、全県5名の就労コーディネーターが実習先の開拓や就労マッチング支援を行うとともに、働く意欲やスキルが伸びるよう県独自の技能検定を開催するなど取り組んでおります。こうした取組により、就労率は、就労コーディネーターを配置した平成28年度以降、コロナの影響が大きかった令和2年度を除き上昇傾向にあり、平成27年度に19.8%であったものが令和3年度には29.4%となっております。  課題については、景気の影響や新型コロナの感染状況により実習や就労の機会が減少していることや、進路先でミスマッチが生じた場合の継続的な支援等と認識しております。  引き続き企業等の関係者に技能検定の見学や実習の機会などを通じて生徒の働く意欲や働く力を知っていただくことにより、実習先の新規開拓や就労マッチング支援につなげるとともに、卒業後における市町村や障がい関係施設等と連携した継続的な支援の充実に引き続き取り組んでまいります。  以上でございます。       〔林務部長吉沢正君登壇〕 ◎林務部長(吉沢正 君)松くい虫被害木に関連して3点お答えいたします。  まず、筑北地区の被害の現状と対策についてです。  筑北パーキングエリア周辺では、高速道路に近く急傾斜地が多いなど、被害対策の実施が難しかったことから、平成26年頃から急速に被害が拡大し、アカマツの枯損木が多くなっている状況です。  これに対し、景観やライフライン等の保全を図るため、また、木材の有効活用の観点から、森林づくり県民税などを活用して枯損木の伐採や搬出の取組に支援してきております。令和元年度から3年度までに、筑北村、麻績村で約18ヘクタールを伐採、枯損木約1,600立方メートルを搬出したところであり、今後も、両村と連携し、対象地域を考慮した伐倒などの対策に取り組んでまいります。  次に、木質バイオマス発電所における被害材の受入れ活用状況についてです。  現在、県内では、4事業者5施設の木質バイオマス発電施設が稼働しており、これらの施設においては令和3年に約12万4,000トンの間伐材が燃料として利用されております。  松くい虫被害材の活用に関しては、薬剤で処理されていない被害材は燃料材としての需要があり、令和2年度から3年度にかけて森林づくり県民税や国の交付金事業を活用して利用された材は1万1,700トンとなっております。松くい虫被害材の搬出につきましては、地形などの現場条件により左右されますが、様々な制度を活用しながら木質バイオマス発電施設における被害材の有効活用を支援してまいります。  3点目は、森林づくり県民税の松くい虫対策への活用についてです。  森林づくり県民税に関する基本方針案の柱である市町村と連携した森林等に関連する課題の解決におきましては、地域において必要度の高い病害虫被害対策をこの取組の一つに位置づけておりまして、被害の監視や被害の初期段階における対応、あるいは森林以外のエリアにおける被害木の伐倒駆除、また、枯損木の利活用といった取組への税の活用を想定しております。  松くい虫被害対策については、守るべき松林等を明確にした上で、薬剤散布などの予防対策、伐倒薫蒸などの被害木駆除、感染経路を遮断する樹種転換などを組み合わせた総合的な対策を行うことが重要であり、国庫補助などの財源と森林づくり県民税を併せて活用することにより効果的な対策に努めてまいります。  以上です。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君)私には、アメリカザリガニによる農業被害の現状と対応について御質問をいただきました。  アメリカザリガニによる農業被害については、議員御指摘のとおり、田植え後の水稲が切断されるほか、巣穴からの漏水などの被害があり、近年、東御市の一部地域で多発していることは承知しております。県では、農業農村支援センターが市やJA等と連携して令和2年度にアンケート調査を行い、被害地域が八重原地区に集中していることを確認したところです。  このため、防除手法の検討を行い、現在、捕獲用わなが有効であることが明らかになったことから、本年度は、わなの設置期間や、より多くの捕獲が可能な手法の検討を行っているところでございます。今後も、関係機関と連携の上、効果的な駆除に努めてまいります。  以上でございます。       〔34番石和大君登壇〕 ◆34番(石和大 君)松くい虫対策、また、DX等も様々な成果があったということが今の答弁の中にあったわけであります。すばらしい成果だというふうに思いますけれども、しかし、県民の皆さんに、しっかりと目に見えて成果があるのだということが分かりやすいという形も必要だというふうに思います。これからの御努力に期待したいというふうに思います。  日本のデジタル化の未整備が新型コロナ対策の現金給付や感染者の把握に混乱や遅滞を招きました。デジタルは、効率とスピードを上げるためのツールであります。県においては、DX戦略を着実に推進し、できるところを速やかにデジタル化していくことを要望しておきます。  アメリカザリガニは、地元に伝わるところでは食用のウシガエルの餌として導入されたとのことです。そのウシガエルが、外来種のブラックバスにより激減し、ザリガニが大繁殖したとも考えられています。これからの対策で、他地域に拡大が起きないうちに早急な対策を充実させていただくことを要望して、質問を終わります。 ○議長(丸山栄一 君)次に、小山仁志議員。       〔15番小山仁志君登壇〕 ◆15番(小山仁志 君)世界の温室効果ガス排出量のうち約2割を農林業分野が占め、農業が環境に与える負荷の高さは世界的にも問題視されており、その対応策強化が地球規模で叫ばれ、米国では農業イノベーションアジェンダ、EUではファーム・ツー・フォークが策定され、食料システムと農業の変革は脱炭素の最前線になっています。  こうした中で、日本の農林水産省も、みどりの食料システム戦略を昨年5月に公表。食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現させるため、中長期的な観点から戦略的に取り組む政策方針を示しています。  本県の気候危機突破方針や2050年ゼロカーボン達成に向けたシナリオにおきましては、農業部門や食料システム、土地利用に関する現状や取組についてあまり目につかないわけですが、農業分野における温室効果ガス排出についての現状と課題についてまず伺います。  みどりの食料システム戦略では具体的KPIを掲げていますが、大変なインパクトを持って受け止められているのが、環境保全分野における取組であります。2050年には化学肥料や化学農薬使用量の50%低減、そして、次世代有機農業に関する技術の確立とともに、オーガニック市場を拡大し、耕地面積に占める有機農業の面積25%への拡大など、野心的とも言われる目標が設定されています。  欧米から大きな後れを取っている有機農業の耕地面積は0.5%であり、その実現性には懐疑的な指摘もある中で、県の有機農業普及促進に向けた政策の進め方については、一昨日の小島議員の代表質問でも答弁があったところであります。  一方で、同戦略におきましては、有機農業はもとより、化石燃料を使用しない園芸施設への完全移行や農業のゼロエミッションなども掲げられ、中長期的に様々な技術開発・実装とともに、イノベーションを創出していくことが不可欠です。  有機農業分野におきましては、研究者も少ないと言われ、農家の経験に根差した技術頼みで、科学的裏づけに乏しい実態もあります。こうした現状と照らし合わせて考えますと、様々な農業・栽培技術の開発やその普及において本県の中核的拠点の役割を果たしてきた農業試験場や野菜花き試験場、また、農業農村支援センターの技術経営普及の取組にも、これまでにはない新たな視点が要求され、研究や技術開発の在り方にも変化が生じてくるのではないかと感じますが、農政部ではどのように対応策を講じていこうと考えているのか。伺います。  食料システムと農業の変革が脱炭素の最前線となっており、その戦略が先行する欧米では、肉牛にも厳しい目が向けられ、代替食品の開発が急ピッチで進み、手がけるスタートアップ企業も株価が上昇するなど大きな変化を見せています。牛のげっぷ等からはメタンが排出され、メタンが持つ温室効果はCO2と比べものにならないほど大きく、温暖化効果は20年間で84倍にも上るということであり、欧米の温暖化対策においては牛の存在がトップイシューとなっています。  一方で、本県の農業振興がさらなる高みを目指す上で、畜産の生産振興は重要な柱を担い、肉用牛の改良や生産拡大、乳用牛の繁殖性や産乳性の向上は不可欠な取組であります。すなわち、畜産振興と地球温暖化対策をいかに両立を図っていくかが求められていますが、県の課題認識とともに対応策について、以上、これまでの一切を農政部長に伺います。  脱炭素社会の実現に向けましては、その削減だけでは到底不十分であり、吸収源への着目も欠かせません。さきに述べました食料システム改革と関わる土地利用の改善とともに、自然の生態系保全と回復、生物多様性の維持も重要な吸収源としての機能があります。  吸収源対策として、生態系ネットワークをいかに活用していくかは、あらゆる場で自然に寄り添い、対話をしていくような姿勢が欠かせません。気候変動へのレジリエンスを高め、さらに防災・減災、水源涵養や都市の気候緩和、触れ合いの場など多様な便益とともに、地域の脱炭素に向けてシナジーも期待される生態系ネットワークの形成をいかに面として広げていくのか。県の具体的な取組やお考えを環境部長に伺います。  また、脱炭素社会の実現に向け、必須となる再生可能エネルギーの普及拡大に当たっては、生態系の保全とトレードオフも課題となり、十分な配慮も必要になると考えます。どのような対策を講じていくのか。環境部長に伺います。  本年も大変厳しい暑さの夏となりました。県では、電力需給の逼迫が懸念される6月から本日までを「今こそ省エネ!プラスアクション」と掲げ、エネルギー消費量の前年比3%削減を目標に、県民、事業者への協力をお願いしてきました。  電力需給の逼迫を防ぎ、夏場や冬場の電力需要をピークカットしていく上で、住宅や建築物の断熱性能の向上も欠かせません。建築物は、一度建ててしまえば数十年にわたって使い続けるインフラでもあり、脱炭素社会にふさわしい建築が求められていますし、特に、厳しい冬が避けて通れない信州においては、ヒートショック対策など健康面への効果も生まれます。  本県では、国に先駆け、2030年までに全ての新築建築物のZEH、ZEBの実現を目標に掲げ、注目が集まっています。この実現に向けましては、地域の工務店や設計事務所等、省エネ基準に関する知識力や技術力を高め、また、基準への適合性を計算、評価できるよう、人材育成等へのトレーニング等とともに、やる気を持って積極的に取り組む事業者や人材を増やしていくことが求められます。ボトルネックとの指摘もある工務店をはじめとした関連事業者の省エネに対するノウハウの不足を克服していくため、県ではどのように対策を講じていくのか。建設部長に伺います。  また、省エネ対応の業務による関係事業者の労働環境や処遇改善にも資するように適正な価格転嫁を促すこと、一般消費者のZEH認知度向上に向けたPRや追加費用の負担感に対する軽減も欠かせません。メリットの見える化や、適正な評価、費用対効果等を分かりやすく伝え、明確な動機づけをどのように与えていくのか。県の取組について建設部長に伺います。  さて、脱炭素社会の構築には、県民一人一人がその実現を目指すプレーヤーとして、また、自分事として捉えていただくこと、行動変容につなげていくことが不可欠ですが、実態はまだ程遠い現状があると感じます。  消費者の行動変容を促す上で、まずは私たちの衣食住、生活を支える製品やサービスがどれだけのCO2を排出しているのか、いわゆるカーボンフットプリントの表示など、消費者の選択に際しての見える化への環境設定が欠かせません。県では、エシカル消費の推進のため、年々その取組を充実させてきましたが、こうした消費者の選択に際しての見える化に対し、県はこれまでどう取り組み、今後どのように取り組んでいくお考えなのか。県民文化部長に伺います。  一方、実態として、環境によいものは高いという壁にぶつかり、価格を優先して安いものを選んでしまう消費者が多いのも事実です。この構造を変えない限り、企業側も安くて売れるものを大量生産、売れ残りは大量廃棄という循環が続いてしまうように思います。  環境負荷の少ない製品や製造コストが安くなるような公正な仕組み、脱炭素に向かって取り組む企業やプレーヤーの真っ当な努力が報われるような仕組みをつくらない限り、ゼロカーボン社会実現に向け大きな障壁となる状況が続いてしまうと考えます。こうした課題をどのように解決していくのがよいと考えるのか。知事に所見を伺います。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君)私には3点御質問をいただきました。  初めに、農業分野における温室効果ガス排出の現状と課題についてでございます。  国によると、日本における温室効果ガスの排出量は11億5,000万トンであり、このうち農林水産分野は5,084万トンと全排出量の4.4%を占めており、世界における23%と比較すると我が国の農林水産分野の排出量は少ない状況です。  また、農林水産分野の排出量の内訳を見ますと、施設園芸の加温やトラクターなどの燃料燃焼に由来する二酸化炭素が37.3%、水田や牛のげっぷ、堆肥製造などに由来するメタンも二酸化炭素換算値で43.5%となっております。  農業由来の温室効果ガスについては、例えば、メタンは水田などから自然に発生するため、食料を生産する農業活動と排出そのものを抑制することの両立が難しいことが課題だと認識しております。  次に、研究や技術開発の変化への対応についてでございます。  試験場では、温暖化による農作物への適応技術の開発を進めてまいりましたが、令和3年度からは、新たに温室効果ガスの排出抑制に向けてメタンを抑制するための水田管理技術の開発、水田や畑に炭素をとどめる研究を始めております。  さらに、有機農業に利用可能な緑肥作物の活用による減化学肥料栽培や、天敵昆虫を利用した防除技術の検討等環境に優しい農業技術の開発も進めるなど、研究分野においても時代の変化を捉えて対応してまいります。  また、農業農村支援センターにおいても、従来の技術指導に加え、新たに炭化させた果樹剪定枝の炭素貯留の取組の推進や、有機農業の専門知識を有する普及指導員の養成等の対応を進めているところでございます。  最後に、畜産振興と地球温暖化対策の両立についてでございますが、メタンなどの畜産由来の温室効果ガスは牛のげっぷや家畜の排せつ物が発生源となっていることから、畜産の生産効率を下げることなく排出を抑制することが課題であると認識しているところです。  このため、対応策といたしまして、牛のげっぷについては、畜産試験場において、ポリフェノールを含んだ柿皮パウダーを牛に給与する試験を行い、メタンの削減効果が認められたことから、今後給与技術の確立を目指しているところです。  加えて、国で取り組んでいる家畜排せつ物の堆肥化におけるガスの排出抑制技術やメタンの排出を低減する牛の改良などの技術開発の動向を注視しながら、排出抑制に向けた新技術導入の検討を進め、畜産振興と地球温暖化対策の両立につなげてまいります。  以上でございます。       〔環境部長猿田吉秀君登壇〕 ◎環境部長(猿田吉秀 君)2点お答えいたします。  最初に、生態系ネットワークの形成をどのように面として広げていくかというお尋ねでございます。  生態系ネットワークの形成は、気候変動に適応するとともに、自然が有する多面的な機能を発揮させる取組であると認識しているところでございます。  現在、国におきましては、2021年のG7サミットの場で、2030年までに国土の30%以上を自然環境エリアとして保全するいわゆるサーティー・バイ・サーティー目標を国際約束しております。環境省では、この目標の達成に向け、自然公園などの保護地域に加え、企業林や企業緑地等の生物多様性保全に貢献する地域、いわゆるOECMを認定する仕組みを検討しているところでございます。  本県におきましても、サーティー・バイ・サーティー目標を意識し、生物多様性保全の長野県戦略を兼ねました次期環境基本計画の策定を進めているところでございます。今後、OECMの認定取得に積極的に取り組むと同時に、官民共同で自然環境を保全することにより生態系ネットワークを広げてまいりたいと考えております。  次に、再生可能エネルギーの普及拡大と生態系の保全についてのお尋ねでございます。  再生可能エネルギーの普及拡大に当たりましては、生態系の保全も含め、環境面への十分な配慮が不可欠と考えております。  現在、次期生物多様性国家戦略の検討がされております国の中央環境審議会におきまして、再エネ事業について、個別法による立地規制のほか、地球温暖化対策推進法に基づき市町村が設定いたします促進区域への事業の誘導や、環境影響評価、環境アセスメント制度における適切な配慮といった観点で議論が進められております。  既に、本県におきましては、自然公園法等の個別法を厳正に適用するとともに、環境影響評価において、メガソーラー計画に対し二酸化炭素の吸収源など多様な機能を持つ生態系への影響を最大限低減することを求め、また、促進区域に関する県基準を全国に先駆けて策定し、森林や生産性の高い農地等を当該区域から除外すること、動植物の生息区域に配慮すべきこと等を盛り込んだところでございます。  今後も、これらの制度の適正な運用や情勢の変化に応じた見直しを行い、生態系の保全と再エネ普及の両立を図り、長野県ゼロカーボン戦略が掲げる持続可能な脱炭素社会の実現を目指してまいります。       〔建設部長田中衛君登壇〕 ◎建設部長(田中衛 君)2点御質問をいただきました。  まず、建築物省エネ化のノウハウ普及に向けた取組に関するお尋ねです。  建築物の省エネ化を進めるためには、戸建て住宅の建築を担う地域の事業者の役割が重要です。このため、信州型ZEHの普及促進に取り組むため、関係する事業団体とともに、信州健康ゼロエネ住宅普及促進協議会を本年5月に設置しました。この協議会では、事業者が技術力に応じて断熱施工技術や省エネ性能を評価するための計算方法等を取得できるよう研修会を開催することとしました。また、こうした技術を事業者自ら学べるよう、研修動画の作成も進めております。建築物の省エネ性能を高めていくため、関係団体と連携して中小工務店の技術力向上に取り組んでまいります。  次に、消費者に対するZEH、ZEB化のメリット周知に関するお尋ねでございます。  ZEH、ZEB化を進める上では、住宅を建てる方々に健康で快適な室内環境や光熱費の低減など建築費用を上回るメリットがあることを実感していただくことも重要です。このため、地域の事業者の協力の下、信州型ZEHである信州健康ゼロエネ住宅を体感していただく見学会を行っています。また、費用対効果などの具体的な数値や実際に住んでおられる方々の生の声を織り込み、メリットを分かりやすく解説した動画を10月から動画配信サイトやテレビCMで発信していく予定です。  今後も、現場に携わる地域の事業者の声も反映させながら効果的な周知を継続し、建築主となる方々の御理解をいただく中でZEH、ZEB化の普及に努めてまいります。       〔県民文化部長山田明子君登壇〕
    県民文化部長(山田明子 君)消費者の商品選択に際しての見える化の取組についてのお尋ねでございます。  日常の買物において環境に配慮した商品を選ぶことは、エシカル消費、ひいては二酸化炭素排出量の削減に結びつく身近な実践行動であるものの、県民の皆様からは、何がエシカルな商品か分からないという御意見をいただいております。  商品やサービスがどのように環境負荷の低減に資するかを教えてくれる目印として、エコマークや、森林の環境保全に配慮して生産された商品を表すFSC認証などの環境ラベルがあります。県では、これまで、様々な環境ラベルのスイングPOPを作成し、スーパーやコンビニの店頭に掲示していただくことで消費者の商品選択の参考となるように啓発してまいりました。また、エアコン等の家電製品について、製品ごとに省エネ性能等を示す統一省エネラベルを見やすい位置に掲出することを県条例により義務化しております。  今年度は、株式会社デリシア様と連携協定を結んで、エシカルな商品を店頭で具体的にイメージをしていただき、その商品購入に際してポイントを付与していただくなど事業者との協働による取組を進めてきております。  今後は、こうした取組をより多くの事業者に広げていくことで、消費者の行動変容に結びつけてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)脱炭素に向かって取り組んでいる企業やプレーヤーの真っ当な努力が報われるような仕組みをつくらないといけない、そうした課題にどう取り組んでいくのかという御質問であります。  これは、産業面・生産面と、消費者側と、両面に分けて考えていく必要があるのではないかというふうに思っています。  まず生産側でありますけれども、今、ESG投資の拡大や国際的なサプライチェーンの中では、もういや応なしに脱炭素ということが求められる時代になっております。そうしたことを考えますと、もはや企業にとっては脱炭素化に取り組んでいくことが国際的な競争を生き残っていく上で極めて重要な課題になっているというふうに考えております。  新たに県産業振興機構を設けてグリーンイノベーションセンターを設置いたしました。また、工業技術総合センターでも様々な技術開発の支援をしているところでありますが、このグリーンイノベーションに向けた取組、そして、この新技術の開発と併せて、競争力のある製品を作っていく上ではコストの削減ということも大変重要な観点だと思いますので、そうした支援を県としてもしっかり行っていきたいと考えております。  また、政府におきましては、年末のGX戦略・成長戦略の取りまとめに向けまして、温室効果ガスの排出量に応じた負担を求めるなどのカーボンプライシングの基本的な枠組みの検討を加速化するとしているところであります。私としても、その具体化に注目をしているところでございます。ぜひゼロカーボン社会に向けてしっかりとかじを切っていただきたいというふうに思います。この経済発展、経済成長と脱炭素化の両立をどうしていくか。極めて難しい課題ではありますけれども、政府においては、ぜひしっかりそこを切り開いていっていただきたいというふうに考えております。  他方で、消費者側の問題、先ほどエシカル消費について県民文化部長から御答弁申し上げたところでありますけれども、エシカル消費は非常に広い概念でありますが、その中でも、特にこの脱炭素、ゼロカーボンは極めて重要なテーマだというふうに考えております。  長野県は、気候非常事態宣言を全国の都道府県の中で最初に行った県でもありますので、より多くの県民の皆様方にこの気候危機の問題を分かりやすく伝えていくということ、問題意識をまずはしっかり共有をするということが重要だと思っておりますし、また、一人一人の行動、選択が未来を決めていくのだということを理解していただくように取り組んでいきたいと思います。  ゼロカーボン社会共創プラットフォームも近々スタートさせて、多くの県民の皆様方と一緒にゼロカーボン社会に向けた取組を進めると同時に、県民の皆様方とともに学ぶ場もつくっていきたいというふうに思っています。まずはそういう危機感を県民の皆様方としっかり共有していきたいと思います。その上で、我々行政としては、県民の皆様方に分かりやすく選択肢をお示しをしていくということも重要だと思っています。  御質問に取り上げていただきました住宅関係は、今、信州健康ゼロエネ住宅ということで、地球環境により優しい住宅の建設を促しているところであります。ただ、こうした住宅は、どうしても一定程度コストが上がってしまいますので、現在、私どもとしては、こうした住宅に対しての補助制度を設けています。  ゼロカーボン社会の転換に向けて、これは未来永劫ずっと補助し続けるということはなかなか難しいと思いますし、やはり市場経済の中でしっかり回るようにしていかなければいけませんけれども、しかしながら、この転換期においては、我々行政の側で意識的に転換を促すインセンティブを設けていくということも極めて重要だというふうに考えております。  経済の変革の段階においては、こうした変化にしっかり対応できる産業分野とそうはいかない産業分野がありますけれども、どんどん進めていただけるところについてはしっかり進めていただくと同時に、そうした変革を我々行政としても補完、支援することによって社会構造が大きく変わっていくことの後押しをしていきたいというふうに考えております。  非常に大きな課題でありますので、産業界そして県民の皆様方とともに、問題意識と方向性を共有しながら取り組んでまいりたいと考えております。  以上です。       〔15番小山仁志君登壇〕 ◆15番(小山仁志 君)県ではグリーンイノベーションへの支援を行っていたり、また、政府では、カーボンプライシングの検討も始まっています。知事からは、この転換を促すためのインセンティブに対する補完、支援を行っていく重要な時期だという答弁をいただきました。  環境への対応と価格等の経済合理性の追求、あるいは成長というものがトレードオフの関係にあることが環境対策が進みづらい大きな理由になっている実態や現実というものをどう解消していくのか、仕組みづくりというものも急務であるというふうに考えます。  そして、地球環境の限界を示すプラネタリーバウンダリーという研究がありますが、超えてはならない地球環境の境界が九つの項目で示されています。土地利用、生物多様性、気候変動など4項目で既に限界値を超えているという指摘があります。自然資本の持続性に大きな危機が迫っていることを踏まえたスピード感を持った大胆な取組が今求められていると考えます。  自然からの警告に謙虚に向き合っていく社会や行動変容の創出に向け、長野県政が牽引役となってお取り組みいただくことを切に願いまして、質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(丸山栄一 君)次に、堀内孝人議員。       〔33番堀内孝人君登壇〕 ◆33番(堀内孝人 君)自民党県議団、堀内孝人です。  最初に、第82回国民スポーツ大会、第27回全国障害者スポーツ大会を見据えたスポーツ振興についてお伺いします。ちなみに、あしたから3年ぶりとなる「いちご一会とちぎ国体」が栃木県で開催されます。本県で開催される令和10年の信州やまなみ国スポ・全障スポまで5年余りとなりました。そこで、何点かお尋ねします。  最初に、長野県競技力向上基本計画において、信州やまなみ国スポでは、天皇杯、皇后杯の獲得を目標としております。そのためには、幅広い世代の女性アスリートの活躍も不可欠となります。小平奈緒さんや奥原希望さんをはじめ、本県女性アスリートの活躍はすばらしいものがあり、ジュニアの女子選手にとっても大きな憧れと励みになっております。先般の世界陸上競技でも、女性アスリートの中に既婚者や子育て中の選手が見受けられ、すばらしい結果を出していました。  一方、女性アスリートは、女性特有の課題を抱え、出産を機に競技を離れるケースも多いと聞いております。信州やまなみ国スポでの天皇杯、皇后杯の獲得、さらには国スポ開催後の本県のアスリート振興を見据え、女性アスリートが安心して競技に取り組めるよう、託児サービスを受けられるなど、女性アスリートを支援していくことが必要と考えますが、内堀教育長にお伺いいたします。  信州やまなみ国スポでは、40の正式競技が実施されます。各競技では、それぞれの競技会を運営するため、審判員や運営員スタッフなどのいわゆる競技役員が必要となります。中央競技団体から派遣される人もおりますが、競技会の運営を様々な形で支える競技役員の多くは地元で確保しなければなりません。こうした競技役員を県内でどう確保するのか。その計画について内堀教育長に伺います。  これまで各競技団体が使ってきた器具類が、耐用年数を超え経年劣化しているもの、また、既に更新期を迎えているケースが多々あるとのことで、最新の器具類に付け替えてほしいとの願いはいずれの団体からも随時要望があると思われます。そこで、信州やまなみ国スポに向けて、各競技団がしっかりとした選手強化を行えるよう、器具類についても支援が必要と考えます。国民スポーツ大会開催まで準備は待ったなしである現在、全ての競技団体や施設管理者との情報交換を深め、力強く推進してほしいと要望しますが、見解を内堀教育長に伺います。  次に、果樹振興対策について伺います。  本県農業の基幹部門である果樹農業は、県農政部の推計値によると、農業生産額において、令和3年度約609億円で、全体の約22%を占めております。  果実は、健康維持に欠かせない各種ビタミンや食物繊維などの摂取源となる重要な食品として、また、機能性食品としての関心も高まっています。しかし、果樹生産を取り巻く情勢は、生産者の高齢化、次世代への樹園地の円滑な継承や気候変動による生産不安定、農業資材等の価格の高止まり、国際的な経済連携協定への対応など課題を抱えております。  こうした状況の中で、国内でも有数の果樹生産地を自負する本県としては、果樹農業の持続的な発展を図り、引き続き消費者から求められるうまい果物の産地づくりを基本とし、供給能力の堅持を図ることが大切と考えるところです。  阿部知事も、本年2月議会の議案説明の中で、本県農業の競争力の強化をするため、農業を支える担い手の確保育成、そして果樹生産における稼ぐ力の強化などの取組を積極的に進める考えを示しております。  また、令和4年度長野県果樹振興方針によれば、果樹産地の競争力強化、収益性が高く省力的な果樹栽培の推進、うまいくだものを安定生産できる産地づくり、果樹経営基盤の安定を重点振興方針としております。  その中でも、「ぶどう三姉妹」であるナガノパープル、シャインマスカット、クイーンルージュの品種特性に応じた栽培管理の徹底を推進し、全国トップクラスの産地づくりを目指すこととしており、私もその成果を大いに期待しております。  一方、私の住む須高地域は、平均気温、年間降水量、また豊富な日照時間と生育期間中の昼夜の温度差、さらには水はけのよい土壌などの果樹栽培の条件がそろい、県下有数の果樹産地となっており、農業生産額の約80%を果樹が占めております。特に、ブドウ、プルーンは県内トップの生産額です。  そして、須坂市には、歴史ある農業試験場、果樹試験場、須坂創成高校、JAグループの農村工業研究所などの研究機関や教育機関があり、最新の試験研究成果を得ることができ、これも果樹栽培の盛んな大きな要素になっていると考えます。  そこで、ただいま申し上げた現況を踏まえ、県が誇る果樹の消費拡大と生産者の所得向上のためにこれからの農業政策の果樹部門で力を入れていく事業として、果樹試験場が担っている品種改良、技術開発などの役割を大切にしてほしいと思います。  例えば、ブドウ畑では、短梢栽培をはじめとするより育てやすい環境整備が進められているとお聞きしています。設置されてから75年の歴史を持つ果樹試験場が担ってきたこれまでの研究成果や技術開発をどのように捉えているのでしょうか。また、本県果樹生産の発展を図る上で、最新のテクノロジーも導入するなどして研究機関として国内トップレベルを目指してほしいと思いますが、見解を小林農政部長にお聞きします。  ブドウの人気は、これまで手がけてきた品種から新たな売れ筋に切り替える動きも出るなど、関心の高まりは増しています。知事が自ら上京し直接トップセールスしたブドウのほかにも、主流派ではない多くの品目も栽培されています。このような中で、多品目に対応できる担い手の育成確保に具体的にどう取り組むのか。そして、果樹王国を掲げる信州の真のブランド構築のための果樹振興の今後についての見解を阿部知事にお聞きします。  次に、千曲大橋県道建設の早期化に向けて伺います。  善光寺平に位置する長野市と須坂市、小布施町、高山村は、長野地域連携中枢都市圏を構成し、持続可能な圏域の形成を目指して課題の解決に向けた取組を進めております。  長野市北部地域には長野市民病院や北部工業団地、須坂市、小布施町、高山村には県立信州医療センターや県営日滝原産業団地、小布施にはスマートインターチェンジなどの広域的な拠点施設が千曲川を隔てて存在しており、約8万台を超える車が千曲川を渡り、日々往来しております。  しかし、村山橋から小布施橋までの橋梁間隔は約5.5キロメートルあり、近隣の橋梁間隔が平均で約2.4キロメートルであるのに対し2倍程度の橋梁間隔となっていることから、当該地域における市町村間、拠点間ネットワークは大変脆弱な状況にあります。  平成31年3月に策定された長野県都市計画ビジョン及び長野都市圏の新たな総合都市交通計画では、これからの都市づくりの方針として、今ある資源を活用しつつ、生活、産業、観光を支える交通体系を構築するための圏域内における広域根幹的な交通基盤づくりの推進や、災害時、緊急時の物資や人の輸送、緊急活動、高速道路へのアクセス向上など災害に対する備えとしての幹線道路網の多重性の強化などが示されております。  また、令和元年東日本台風では、千曲川の氾濫によりまして堤防の決壊、越水など未曽有の被害が発生し、多くの住民が避難を余儀なくされたことは記憶に新しいところです。長野市側の決壊箇所は千曲大橋の予定ルートに近く、尊い人命を守るためには千曲大橋の建設が広域避難にとって大変有効であります。  これらのことから、広域的な拠点施設や地域資源などをつなぎ、都市間の連携強化と円滑な交通の流れを図るため、新たな橋梁、千曲大橋を含めた長野市長沼――須坂市豊洲間の県道建設がぜひ必要であります。  千曲大橋建設促進期成同盟会は、昭和51年の発足から46年が経過し、もう少しで半世紀になろうとしております。千曲大橋建設は、千曲川両岸の住民の悲願でもあります。長野市の都市計画道路北部幹線も昨年の3月に古里小学校まで延伸され、千曲大橋はその先にあります。一日も早い長野県における千曲大橋の事業化を要望しますが、所見を田中建設部長にお伺いします。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君)3点御質問を頂戴しました。  まず、女性アスリートの支援の充実についてのお尋ねでございます。  あしたから始まる第77回国民体育大会「いちご一会とちぎ国体」には、長野県選手団の選手342名中4割に当たる137名の女子選手が出場予定であり、その活躍を大いに期待するところであります。  信州やまなみ国スポでの天皇杯・皇后杯獲得という目標を達成するためには、女子選手の活躍は必須であり、長野県競技力向上基本計画に女性アスリートの支援を位置づけ、女性アスリートが活躍できるよりよい環境をつくっていきたいと考えているところであります。  現在、競技団体等へヒアリングを行いながら具体的な取組を検討しているところでありますが、国スポ開催後も見据え、競技力向上対策本部、医科学専門委員会委員の専門家の知見、アドバイスをいただきながら、女性アスリートが抱える特有の課題を整理し、安心して最高のパフォーマンスを発揮できるような環境づくりに取り組んでまいります。  次に、信州やまなみ国スポの競技役員の確保についてでございます。  信州やまなみ国スポの競技会の運営に向け、昨年度、県内競技団体に行った調査では、県内で2,400名程度の競技役員が必要との結果となっており、大会開催までに県内で新たに1,700名程度の養成が必要と見込んでおります。  競技役員の養成は県内の競技団体が中心となって計画的に進めていただいており、県教育委員会では、昨年度から、中央競技団体主催の講習会への派遣や、県内競技団体が実施する講習会などに対して支援を行い、昨年度は258名が競技役員の資格を取得しております。今後とも、競技団体と連携を密にし、必要な競技役員の確保に努めてまいります。  続いて、信州やまなみ国スポに向けた器具類の整備についてでございます。  国民体育大会正式種目の団体に対し、これまで、通常時の競技力向上対策の枠組みの中で競技に必要な用具の整備を計画的に支援してまいりましたが、さらなる要望があることは認識しているところでございます。  その要望に応えるべく、信州やまなみ国スポに向けましては、補助金額を増額するとともに、令和3年度から補助率を見直して競技団体の負担を軽減し、支援を拡充してまいりました。また、平成30年に設置した長野県競技力向上対策本部において、競技力向上に欠かせない高額な特殊競技用具を中心に昨年度までに22の団体に32の用具整備を支援し、今年度も7団体への支援を予定しております。  引き続き、対策本部において競技団体からの要望を丁寧に聞き取るとともに、実際の競技を行う会場などの状況を確認し、必要に応じ施設管理者と安全面や設置後の利用促進等について事前協議なども行いながら、選手がよりよい環境の中で練習に取り組めるよう計画的に支援を進めてまいります。  以上でございます。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君)私には2点御質問をいただきました。  初めに、果樹試験場の研究成果や技術開発をどのように捉えているかということでございますけれども、果樹試験場では、南北に長く標高や気温差が大きい自然条件の中、多様な品目が栽培されております本県の特性を踏まえ、新品種、新技術の研究開発に取り組んできております。  研究成果としては、良食味のリンゴ、シナノスイート、シナノゴールド。ブドウでは、日本初の皮ごと食べられるナガノパープルや赤色系のクイーンルージュなど時代のニーズを先取りした県オリジナル品種を育成してまいりました。また、植えてから早期に収量が得られやすいリンゴの新矮化栽培や、初心者でも栽培が可能となるブドウの剪定技術の開発などを推進してまいりました。これら県オリジナル新品種の育成や省力栽培技術の開発は、農家所得の向上にもつながってきており、本県果樹産業の発展に寄与してきたものと考えております。  次に、国内トップレベルの研究機関への見解でございますけれども、果実試験場においては、新品種や新たな技術開発に向け、研究体制の整備を進めてきたところです。  具体的には、交配による果樹の品種育成には長い期間が必要となりますが、これを短縮するため、遺伝子を識別するためのDNAマーカーなどの技術を導入した新たな手法による品種開発にも取り組んでおります。また、温暖化を想定した高温再現ハウスを整備し、高温がリンゴの栽培に与える影響評価と対応策に取り組むなど、全国に先んじた技術開発も行っているところです。  今後も、AIを活用したスマート技術を用い、簡単にブドウの房づくりができる機器の開発など全国トップレベルの研究を進めていきたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、多品目に対応できる農業担い手の育成確保、そして、ブランド構築のための果樹振興の今後についての展望を伺うという御質問をいただきました。  まず、果樹栽培の担い手確保についてでございますが、御質問にもありましたように、本県は標高や気候など地域ごとの立地条件に合わせた産地化がされてきております。リンゴ、ブドウ、梨、桃、この4大品目を主体に多品目がバランスよく生産されているのが本県の特色だと考えております。今後も、産地ごとに栽培されております果樹の担い手を育成するため、県の里親研修事業の活用により、生産されている品目や地域の実情に合わせた担い手育成手法を市町村、JAと連携して推進していきたいと思います。  また、農業農村支援センターの品目に応じたフォローアップ研修など、営農が軌道に乗るまでのサポートを拡充してまいります。さらに、永年性作物であります果樹につきましては、農家の子弟が円滑に経営を継承できるような支援も今後検討していきたいと考えております。  ブランド構築のための今後の取組でございますけれども、果樹のブランド化につきましては、例えば、今年グランドデビューいたしましたクイーンルージュで申し上げれば、まずは市場や消費者のニーズにマッチした品種を試験場が開発いたします。そして、その上で、苗の流出や名称の無断使用を国内外で防いでいくために品種登録や商標登録など知財戦略を実施いたします。加えて、JA長野県グループと連携して、今回は私もトップセールスをさせていただきましたけれども、「ぶどう三姉妹」という形で売り込むという販売戦略を進めております。  今後とも、品種開発から販売戦略までを一体的に進めていくことによりまして、県産果樹のブランド化を図り、競争力を高め、ひいては果樹農家の収益向上につながるようにしっかり取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔建設部長田中衛君登壇〕 ◎建設部長(田中衛 君)仮称千曲大橋の事業化に関するお尋ねでございます。  仮称千曲大橋は、県と5市3町で平成31年3月に策定した長野都市圏総合都市交通計画において、千曲川を渡河し、長野市と須坂市を結ぶ将来道路網として位置づけられています。この新橋は、長野都市圏全体としての拠点間の結びつきを強化することにより、産業や観光、地域の生活を支えるとともに、災害時にはリダンダンシーを高める効果が期待される重要な交通施策であると認識しています。  しかし、現在のところ、県道網がなく、都市計画道路の位置づけもないことから、ルート、構造、整備手法等が定まっている状況ではありません。このため、長野都市圏総合都市交通計画におきましては、新橋の整備について、まずは関係する市町により計画策定からおおむね10年以内にその方向性について調査に着手することとしております。  このような中で、県としましては、まずは渡河部の交通機能の確保のため、隣接する小布施橋について昨年度より橋梁長寿命化修繕計画に基づく補修に着手しており、橋梁の健全な状態を適切に保つよう努めています。引き続き渡河部の渋滞状況など周辺道路の交通量の変化等を確認し、現況の道路ネットワークの課題の把握に努めるとともに、新橋の整備につきましては、関係する市町と連携し、中長期的な課題として取り組んでまいります。       〔33番堀内孝人君登壇〕 ◆33番(堀内孝人 君)それぞれ御答弁ありがとうございました。  国体は早くもあと5年に近づきましたので、県議会議員の皆さん全員で後押しをよろしくお願いしたいと思います。質問を終わります。 ○議長(丸山栄一 君)次に、百瀬智之議員。       〔13番百瀬智之君登壇〕 ◆13番(百瀬智之 君)今回は、里山のにぎわい創出について、主に観光政策を切り口にしてお尋ねしてまいります。  少し昔のこととなりますが、遡るのは2017年、長野県観光機構は、信州デスティネーションキャンペーンに伴って、信州DCサイト、大手検索サイトヤフーの検索履歴等を活用してデジタルマーケティング調査を実施したと承知しております。  そこで明らかになったことは、一つには、DC期間中における検索動向の把握、例えば、DC期間中に「長野・観光」と二つのワードを連ねて検索した人がその直前や直後にどのような検索をしているかというようなことが判明いたしました。  その結果は、例えば、同時期に「山梨・観光」と検索した人の直前検索では、山梨・ブドウ狩り、富士急ハイランド、河口湖・観光というようなワードがトップテンを飾るのに対して、「長野・観光」と検索した人の直前検索トップテンには、山梨・観光、新潟・観光、岐阜・観光というワードが並び、10番台からようやく松本城や善光寺というワードが見られるようになります。  何が言いたいかというと、山梨県に行こうとしている人は、山梨県に行けばブドウ狩りで食のコンテンツが楽しめる、富士急ハイランドでレジャー施設が充実している、あるいは河口湖畔でゆっくりできるという山梨県内で何ができるかを検索時点で具体的に想起できるのに対して、長野県ではそれが曖昧で、観光客は来県前から隣県で何ができるかを割と必死に探していて、知らず知らずのうちに本県がハンデを背負って来客を迎えていることが浮き彫りになっています。  頼みの松本城や善光寺だけでは人々を一日中そこに滞在させたり観光客を宿泊させるには足りず、それらを補うことが期待される温泉コンテンツは隣県群馬の後塵を拝し、食のコンテンツも隣県に競り負けている状況で、総じて本県の具体想起は隣県の後手を踏んでいて、ぼんやりとした人気はありながらも、魅力が曖昧なため、比較され、強みの明確な他県に興味関心が流れ、本県に誘導できていない。結果、感度が高い女性や若者が来なくなってきている。そんなことをデータは示しています。  では、どうすればいいのかと考えたときに、しっかり魅力を編集して、その価値向上に重点的に投資していく必要があるのではないでしょうか。というのは、同じくこんなデータも出ています。簡単に申し上げますと、まず、DCサイトのカテゴリー別のアクセスを調べると、イベント情報やアクティビティーというカテゴリーを上回ったのは、山の信州というカテゴリーでした。同じくDCサイトのアクセスを今度はページ別に調べると、大自然で遊ぶとか信州の歴史文化に触れるというページを抑えたのは、信州の大自然に癒されるというページでありました。  つまり、本県に関心を持つ人の多くが、シンプルに山の信州に癒されたいと思っていて、松本城もいいし、温泉もいいし、そばもいいけれども、私たちが毎日それらに通っているわけではないことと同様に、観光客の方々も、それらに触れながらのんびりと山に囲まれた暮らしをしてみたい。そういう日常を体感してみたい。でも、その受皿が整っていない。そして、何より地域住民自らが山に癒される場所を持っているようで持てていない。したがって魅力を伝え切れていない。そんなことを示唆していたのではないかと考察します。
     そこで、お尋ねいたします。  まず、リアルな世界での県内へのいざないとして、先日、久しぶりに銀座NAGANOを訪れてみました。現在、約1,600の商品がひしめくように陳列され、77市町村のあれもこれもとPRしていただいていますが、それがかえって銀座を歩く人たちの目を背けることにはなっていないでしょうか。もっと陳列棚とディスプレーを整理して見栄えをよくしていただきたいということを要望しておきたいと思います。  そして、それらを踏まえてのデジタルは、今後は来訪者に対するプッシュ型の通知がますます重要になってくると考えます。LINE等を活用したプッシュ型の事業展開とデジタルプロモーション全般の進捗を伺い、あわせて、大規模な観光イベントが続いた今年はどのようなマーケティング調査、データ分析がなされたのでしょうか。観光部長に伺います。  また、山のコンテンツとしては、まず、移動に関して、機動力がある自転車道の開発整備はどうなっているでしょうか。  最近では、かつての森林作業道を新たにマウンテンバイクロードとして復活させ、林業再生を視野に入れた観光コンテンツ事業が生まれているとも聞きます。とすると、長野県のジャパンアルプスサイクリング事業にも派生的な可能性が眠っていると思いますから、ルート設定に時間がかかっているこちらの事業の見通しを伺います。  さらに、山での長期滞在を見据えたときに、ハイクラス、ミドルクラスの宿泊者が長期滞在できる仕掛けが弱いです。軽井沢を見てみれば明らかなように、特に富裕層に関しては、観光消費額の平均単価が高いということはもちろんのこと、そこで認められたブランド、流行したトレンドは大衆の憧れとなり、全ての人に波及します。  懸念しているのは、県内ではそれらの役目を軽井沢に頼り過ぎてしまっていることで、もっと県内全域で展開していただきたく、ハイクラス、ミドルクラスの宿泊者をターゲットとしてどのような取組をしているのか。以上、観光部長の見解を求めます。  次に、林務部関係について、まず、ベースの部分で、森林所有者の特定と森林管理を進める森林経営管理制度の進捗はどのようになっているでしょうか。  そして、「山の信州」と言ったときに、3,000メートル級のがちんこ登山を想起する人は少なくありませんが、これからは、環境、健康、癒しを目的に気軽に親しめる里山という思考が非常に大事になると思います。昨今は、長野県の森林サービス産業の取組が国から注目されていると聞きますから、その期待は大きいです。  特に、まず地域住民が気軽に里山に足を運べる拠点づくりにはぜひとも重点を置いていただき、例えば、中信地区にとって、小谷村と木曽にある森林セラピー基地のみでは、松本地域の住民からすると、そうはいってもどちらもなかなか距離があり、定期的に足を運べるものではありません。もっと身近にこれらに準ずる里山スポットを設定して県民の憩いの場を増やす取組をしてはいかがでしょうか。  新たな拠点づくりの在り方と、林務部としては地域住民や観光客にどのような里山コンテンツを提供できると考えているか。以上を林務部長に伺います。  最後に、今回のデジタルマーケティング調査によると、山から神社仏閣、温泉に至るまで、県内の観光スポットを個別に見ると、やはり女性と若者の興味関心が比較的薄いということが明らかになっています。観光客の視点と同時に、まずは現場で女性や若者の視点をもっと組み込んでいく必要性を感じます。  そこで、広く一般的に、このたびめでたく4期目を迎えられた知事が女性や若者のニーズを今後どのように酌んでいくおつもりなのか改めて伺い、今回の主題である信州の山づくりにおいては、観光部と林務部に期待することは何なのか見解を求め、今回の一切の質問といたします。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君)私には大きく4点のお尋ねをいただいております。  まず、プッシュ型の事業展開とデジタルプロモーション全般の進捗についてでございます。  プッシュ型の事業展開としては、観光機構と連携し、メールマガジンによる季節やターゲット層を意識したコンテンツの紹介、ツイッターやインスタグラムを活用し、例えば、桜、紅葉、食など旬の情報を投稿、こういった媒体の特性を生かした情報発信を行っているところでございます。  また、今年度は、長野県公式情報サイト「Go NAGANO」と連動した「ながのファンコミュニティーサイト」を設け、今後登録会員の属性などに応じた情報発信に取り組んでまいります。  こうした取組を進める中、インスタグラムにおいては、自治体観光情報の中でフォロワー数が全国第3位となるなど成果も上がってきており、引き続き工夫を凝らし、効果的なデジタルプロモーションを推進してまいります。  次に、大型イベント等の実施に伴いどのようなデータ分析が実施されたかとのお尋ねでございます。  宿泊旅行統計調査によりますと、大型イベント等が実施されました本年4月から6月の県内宿泊者数は約310万人と、コロナ前の2019年同期と比較し76%程度まで回復しており、全国の同期比を5ポイント余り上回っている状況でございます。  また、公式観光サイト「Go NAGANO」のアクセス数からは、本年4月から6月の閲覧者数は約96万件、前年同期比約1.8倍に増加。閲覧者の居住地別では、首都圏約57%、県内13%、中京圏9%で、前年同期と比較すると首都圏が約1.2倍に増加しているなどの状況が見られるところでございます。  民間会社の調査結果でも、本年6月の状況は、御開帳などの開催周辺地域をはじめ、各地域でコロナ前を上回る入り込み状況となっており、こうした大型イベント等の波及効果や首都圏からの旅行者の増加が宿泊者数等に反映されたと考えているところでございます。  次に、ジャパンアルプスサイクリングロードのルート設定の見通しについてでございます。これまで、シドニーオリンピック、マウンテンバイク日本代表である鈴木雷太氏を代表とするジャパンアルプスサイクリングプロジェクトを中心にルート案を作成し、令和元年度から10広域ごとの道路管理者や警察等で構成する検討会議でルートの検討を重ねてきたところでございます。  令和3年度までに、諏訪、上伊那、北信の3地域のルートが確定し、建設部等において案内看板や路面標示の整備を進めるとともに、サイクリングガイドの講習会などソフト、ハードの両面で整理を進めてきているところでございます。また、残る地域についても、現在コースの試走等により安全性等の検証や国等との調整を行っており、今年度中に全ルートが確定できるよう取り組んでいるところでございます。  最後に、ハイクラス、ミドルクラスをターゲットとしてどのような取組をしているかとのお尋ねでございます。  県では、これまで、市町村や観光機構等と連携し、信州安全・安心な宿魅力向上事業による宿泊施設のグレードアップ支援、ライチョウ観察など長野県でしか体験できない特別感のある旅行商品の造成、秋の観光プロモーションでは、上質な食をテーマにしたワンランク上の旅の発信、観光庁の上質な宿泊施設の開発促進事業によるホテル誘致における地元自治体との連携など、受入れ環境整備、プロモーション等を実施してきているところでございます。  以上でございます。       〔林務部長吉沢正君登壇〕 ◎林務部長(吉沢正 君)里山のにぎわい創出に関連し3点御質問をいただきました。  まず、森林経営管理制度の進捗についてです。  この制度は、森林所有者による管理がされてこなかった森林について、市町村が所有者の特定や意向確認を行いながら、所有者の委託を受けて直接経営管理あるいは林業経営者に再委託することにより森林管理の適正化と林業経営の効率化を促進する制度です。  県内の市町村におけます進捗については、森林所有者の特定につながります意向調査を実施している市町村が本年3月時点で52、それから、市町村の森林管理につながる経営管理権を取得した市町村が本年9月時点で14となっております。  次に、地域住民が里山に足を運べる拠点づくりについてです。  県では、第3期森林づくり県民税の取組を通じて、全国最多10か所の森林セラピー基地等への支援や、地域が主体となり里山を利用する里山整備利用地域への支援などを行ってまいりました。  御指摘のとおり、今後は、レクリエーションや健康づくりなどより多くの皆様が楽しんでいただける拠点が広がるように、里山がより親しまれ、広く利用される仕組みづくりでありますとか、観光、健康、環境教育といった視点での森林の多面的な利活用につきまして次期の森林づくり県民税も活用した支援策を検討してまいります。  3点目、地域住民や観光客に提供できる里山コンテンツについてですが、自然との触れ合いや地方回帰の流れが加速し、森林への利活用への期待も高まっているものと認識しております。  そうした中で、里山を楽しむコンテンツとしては、観光面からは、グランピングなどのほかにも、例えば、山村の暮らしを身近に感じながら歩くフットパスであるとか、林間で爽快感を味わえるマウンテンバイクなどもございます。また、観光面以外でも、ワーケーションなど自然環境を感じる働く場としての利用であるとか、地域の子供たちのための教育利用、あるいは身近な里山を利用できる森のオーナー制度など、地域の特徴を生かし、多様なニーズに応える形で様々なサービスの提供が可能だと考えております。  以上です。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には2点御質問を頂戴いたしました。  まず、若者、女性のニーズをどう酌み取っていくのかという御質問であります。  今回、選挙におきまして、女性や若者から選ばれる県づくりということを強く訴えてまいりました。女性、若者の声をどう受け止め、その声をどう政策に反映させていくかということについては私としても非常に重要だというふうに思っております。  私の場合は、普通に仕事をしていると、どうしても一定の年齢以上の男性と会話をする機会が非常に多いです。これは、組織の中でも県民の皆様方との関係でもそういうことになっていますので、どうしてもそういう皆さんの意見が私の頭の中にどんどんインプットされてしまっている。若い人や女性の声がなかなか私のところに入ってこない、届いていないということをまずは私自身がしっかり意識しなければいけないというふうに思っています。  その上で、例えば総合5か年計画の策定に当たりましても、県外在住の人たちも含めて若い人たちと意見交換をいたしましたし、また、子育て世代の方々とも意見交換をいたしました。  そうした中で、今後の取組として私が重要だというふうに思っておりますことは、一つは、これは子育て世代の方々との意見交換の中で感じたことですが、具体的に何をしてほしいということ以前に、まずは子育て世代の人たちがこういう社会的な課題、あるいは行政との問題についてしっかり語り合えるような場がほとんどないのでもっと増やしてもらいたいという声が複数の方から出ておりました。  また、県外の若者と話をさせていただいたときに言われたことは、県外の若者ではありますが、長野県、とりわけ辰野町と縁が深い若者が多かったわけですけれども、どうして辰野町にみんな来るのか、どうして町の活性化に一緒になって取り組んでくれているのかという観点でお話を聞くと、私たちの意見を本気で取り入れてくれるからと。要は、形だけ意見交換をするとか対話をするということではなくて、本当に地域を一緒につくってもらいたい、そういうパートナーとして意識をしてもらえている。そして、自分たちが発言したり行動したりすることが本当に地域に頼りにされているという意識を持っているから町の活性化に協力しているのだというお話がありました。  これらの話は、これから私たちが女性や若者の皆様方の声を聴いていく上で非常に重要な視点だというふうに思います。私自身、これから県民対話集会を行っていきたいと思いますが、私だけではなく、県組織全体が、若者、女性の声にまずはしっかり耳を傾ける。また、そうした若者や女性自身がお互いに話し合うことができるような場をつくっていくことが重要だと思います。  その一方で、とかく行政にありがちなのは、聞きっ放しで終わってしまうということでありますが、そうしたことが繰り返されると、もう誰も意見を言ってくれなくなってしまうというふうに思いますので、しっかり若者、女性の声を反映して、小さなことでもしっかりと変えていく、そうした姿勢で取り組んでいくということが重要だというふうに思います。私がここで答弁をしているのを各部長も各職員も聞いてくれていると思いますので、県組織全体でそうしたことを徹底して取り組んでいきたいというふうに思っております。  それから、信州の山の魅力づくりにおける観光部、林務部への期待という御質問であります。  御質問にありましたように、観光客が本県を選ぶ理由がなかなか明確ではないというのは本県観光にとっての大きな課題だというふうに思っております。私は、日本百名山の数が全国1位、あるいは森林面積が全国3位、そして国際的なスノーリゾート地を有しているということで、全国トップレベルの山岳観光県だというふうに自負をしておりますが、まだまだ長野県の特色、強みを十分に生かし切れていない部分があるというふうに思います。  今後、御指摘がありましたように、豊かな自然や里山、森林資源、こうしたことを生かした観光振興、そして長野県としての観光のコンセプトをより明確にして取組を進めていくということが重要だと思っております。  観光部には、まずは世界水準の山岳高原観光地づくりということを言ってきておりますので、世界の観光地に遜色がないように、例えばWi-Fiの整備やキャッシュレス化の推進など受入れ環境をしっかり進めてもらいたいというふうに思っております。  また、今はアウトドアブームであり、これはまさに長野県にとって追い風であります。里山を含めた山のハイキングコースやキャンプの魅力をより高めていく、そしてしっかり発信していくということに一層注力していくことが重要だというふうに考えております。  また、林務部には、県民の皆様方はもとより、観光客の方々にも気軽に親しみ、楽しんでいただける森林づくりを進めてもらいたいというふうに思いますが、一方で、生物の多様性の維持存続など、多面的な森林の役割を視野に入れながら、より森林の魅力を引き出していってもらいたいというふうに考えております。  こうした取組を進めるためには、観光部、林務部、両部の協力関係が重要だということはもとより、県庁内各部署とも連携して取組を進めていくということが重要だというふうに思っています。観光部には、県庁各部が参画しております県の観光戦略推進本部の事務局であるということをしっかり念頭に置いて施策を進めてもらいたいというふうに思いますし、また、林務部には、観光のみならず環境、防災、様々な機能を有する森林を所管しているということを十分意識して施策を進めていっていただきたいというふうに考えております。  以上です。 ○議長(丸山栄一 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時50分休憩          ──────────────────         午後1時開議 ○議長(丸山栄一 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  続木幹夫議員。       〔25番続木幹夫君登壇〕 ◆25番(続木幹夫 君)改革・創造みらい、塩尻市区選出の続木幹夫です。順次質問に移ります。  まず、子どもアドボカシー制度の導入について伺います。  全国的に児童虐待の件数は増え続けており、本県においても、昨年は若干減ったものの、その件数は高止まりしているとのことであります。  2016年に相模原市児童相談所に保護を求めていた中学2年生の男子生徒が自殺した問題や、2019年1月に発生した千葉県野田市の小学校4年生の女子児童が父親から虐待を受け死亡した事件を受け、子供の声を十分に酌み取れなかったことが問題視され、昨年5月、厚生労働省の子どもの権利擁護に関するワーキングチームは、虐待を受けたり親元で暮らすことができなくなった子供の意見を聞き、権利を守る子どもアドボカシー制度に関する提言を取りまとめました。子どもアドボカシー制度とは、大人の支援員が虐待などに遭った子供の意見の形成を促し、その意見を表明することを支援したり、支援員が子供に代わって意見を代弁することであります。  さらに、子どもの権利擁護に関するワーキングチームは、都道府県に対し、子供の意見表明に関する支援の環境を整備する努力義務も提言いたしました。具体的には、子供の意見を代弁する意見表明支援員の配置を促し、支援員は、独立性の観点から、基本的に児童相談所とは別の機関が担うべきものと提言し、その支援員は弁護士や社会的養護の当事者団体を想定しているとのことであります。  そして、児童相談所が親子を分離して一時保護する際や、里親委託、施設入所を決定する際には子供から意見を聞くことを義務づけた児童福祉法の改正案が本年6月8日に参議院本会議で可決されました。  これに先駆け、広島県は、2020年にセンターが一時保護していた子供が亡くなった問題を受けて、本年から子供アドボカシー制度を導入しました。虐待を受けるなどして社会的な保護が必要な子供の権利を第三者を介して守る全国初のモデル事業です。意見表明支援員は広島県内のNPO法人に委託するとのことです。  しかし、虐待を受けた子供は、大人を恐れ、深く心を閉ざしているため、支援員は、専門的な知識を持ち、当事者の子供のところに頻繁に通い、閉じた心を開かせ、子供が、この人だったら信頼できる、本当の気持ちを言ってもいいという関係を築ける人材を養成しなければならないといった難しい課題もあるようですが、本県もアドボカシー制度を導入するべきと考えますが、野中こども若者局長に伺います。  次に、学校メンタルヘルスリテラシー教育について伺います。  本年2月の定例県議会において、私は高校生の自殺問題について取り上げました。特に、長野県における一昨年までの5年間の未成年者の自殺者の66.7%を高校生が占めており、全国に比べ約25ポイントも高くなっていますが、その理由について、明確な要因はいまだ分かっていないということであります。自殺に至る兆候としては、悩みや強いストレスによって鬱病となり自殺を図るパターンが多いと言われております。  平成29年のデータでは、鬱病などの心の病気で病院に通院や入院をしている人たちは全国で約420万人に上り、これは日本人のおよそ30人に1人の割合です。生涯を通じて5人に1人が何らかの心の病気にかかるとも言われ、厚生労働省の調査では、健康問題で自殺した人の中で鬱病であった人の割合は40%を超え、自殺の原因の1位となっています。  このように、鬱病はがんと同様に死に至る確率の高い病とも言えます。しかし、これもまたがんと同様に、早期に発病を察知し、治療すれば回復する病でもあると言われております。しかし、我が国は、心の病で精神科に通ったり、カウンセリングを受けたりすることは恥ずかしいことだという風潮があり、なかなか治療につながっていかないのが現状であります。  そこで、本年から高校で使用される保健体育の教科書において、「精神疾患の予防と回復」の項目が設けられました。この授業によって、鬱病や不安症など精神疾患の10代での発症も多い中、生徒が病気について正しい知識を得て予防や早期の治療につなげ、高校で精神疾患の予防や対処法を詳しく学ぶことで、精神疾患への偏見解消や、生徒が早くSOSを出し、周りの大人や友達、専門の相談機関などで相談できるようになることが期待されます。そこで、現在、県内の高校において、心を病んだ児童生徒からのSOSをどのように察知し、支援につなげているのか。教育長に伺います。  さらに、高校生の自殺率の高い本県においては、「精神疾患の予防と回復」の授業について、ただ教科書をなぞるだけでなく、精神疾患から回復した人やその家族による外部講師授業をするなどの強化が必要と思われます。  本県のがん教育においては、既に外部講師を活用し、がん経験者やがん患者の家族の体験に基づく話を聞く授業が実施されています。同様に、鬱病や統合失調症、不安症、摂食障害などの精神疾患についても、経験者や患者家族の体験に基づく話を聞く授業の実施が重要と思われ、兵庫県の高校では、「こころの授業」として精神疾患の当事者を外部講師として招き、自身の体験を話す授業が既に実施されています。  本県においても、既に校長の裁量で数校このような「こころの授業」を実施している高校もあるようですが、特に本県の高校生の自殺の原因の1位が学業不振ですので、いわゆる進学校においてこうした授業が必要と思われ、この授業によって高校生の自殺者の減少につながると思われます。  そこで、保健体育の「精神疾患の予防と回復」の授業において、外部講師の授業を交えて、心の不調や精神疾患についての知識を得たり、自分の心の不調に気づき、周りの大人や友達、専門機関などに相談できる力をつけていくメンタルヘルスリテラシー教育が必要ではないかと思いますが、教育長に御所見を伺います。  次に、カルト教育について伺います。  45年前、私が20歳ぐらいのときに、大学のキャンパスを歩いていると、原理研究会の者が私に話しかけてきて、「あなたは神の存在を信じますか。私が神の存在を証明してみせます。」と言ってきました。好奇心旺盛な私は、証明できるものなら証明してもらおうではないかと興味半分、からかい半分で7日間の合宿セミナーに参加することになりました。セミナーの会場に行ってみますと、40~50人ぐらいの学生が集まっていて、特徴的だったのは、東大をはじめ優秀な大学の工学部や理学部などの理科系の学生が多かったことです。  そして、外界とは全く閉ざされた会場で、統一教会の当時の経典である原理講論と聖書を使って教祖の文鮮明がいかにキリストの再臨であるかという講義が朝から晩まで行われ、講義の中では、日本人をキリストを十字架にかけたユダヤ人になぞらえ、文鮮明の出生地の朝鮮を植民地化し朝鮮人を迫害した日本人は、朝鮮人や韓国人に対して深く贖罪しないといずれ滅び、日本人はユダヤ人のように流浪の民となると教えられました。このような反日的な教義を持った宗教と嫌韓派、嫌朝派の日本の政治が実は深く結びついていたということは何という皮肉な話でしょうか。  そして、最初は疑問に思っていた学生たちも、徐々にこれは真実であると思うと言い出し始め、私も、最後の頃はおかしな気分になり、1週間後、外界に解き放たれ、帰りの電車の中で一般の乗客が談笑しているのを見て、今世界は大変な転換期にあるのだ。この人たちはそれを知らないと思うと同時に、知らないほうがよかったのかと暗鬱なる気持ちになったのを今でも鮮明に覚えております。  そして、私の場合は、あることをきっかけにその洗脳が解かれたのですが、このように、生来のへそ曲がりのあまのじゃくのひねくれ者の私が洗脳されたのですから、カルトの恐ろしさが分かると思います。  一般的に、宗教にすがりたくなるのは、病気になったり何か悩みがあるときと言われますが、このときセミナーに参加した学生から感じ取られたのは、特に悩みがあったからということではなく、原理研の者に誘われるがままにセミナーに参加してきて、話をしてみると、特に家庭環境に問題があったり世の中に疑問や問題意識を持ったりすることがなく、順風満帆に育ったという感じの人がほとんどでした。このように、従順で素直で真面目で、こうした危うい宗教や思想に対して免疫力のない若者がカルトに洗脳されやすいのだと感じました。  そこで、教育長に伺います。  今回の事件で統一教会は破綻するかもしれませんが、たとえ破綻したとしても、オウム真理教がそうであったように、信者の残党がこの事件が忘れ去られる10年後ぐらいに名前や手法を変えてまた復活してまいります。  また、さらには、旧統一教会のほかに既に幾つかのカルト集団が存在していて、マルチ商法や詐欺商法のように手を替え品を替えて狙ってきます。したがって、高校の段階から宗教リテラシー教育が必要ではないかと思いますが、教育長に伺います。  また、以前より国公立大学では学内での布教活動は禁じられ、さらに、カルト対策を行っている大学もあります。本県の県立の大学でのカルト対策はどうなっているのか。また、今まで統一教会などによる布教活動の実態はなかったのかどうか。県民文化部長に伺います。  また、他県では、信者である教員やPTA役員によって性教育やジェンダー教育などがゆがめられた事例があったと報じられていますが、本県においてはそういったことはなかったのか。教育長に伺います。  そして、この事件後、霊感商法による被害相談が消費者センターや警察に多く寄せられるようになったと聞いていますが、本県において相談件数はどのようになっているのか。山田県民文化部長と警察本部長に伺います。  また、信者が脱退しても完全には洗脳から抜け切れず、精神を病む人や親から強制的に信仰を迫られる二世信者の問題もあるようです。県消費者センターにおいて、信者やその家族からの脱退に関する相談体制はどのようになっているのか。また、脱退者のカウンセリング等の相談があった場合の対応やフォロー体制はどのようになっているのか。山田県民文化部長に伺います。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君)私には子供アドボカシー制度の導入について御質問をいただきました。  社会的養護を必要としている子供の中には、自分の意見を表明する権利が保障されていることを十分に認識していなかったり、様々な特性から自分の考えや思いを整理して伝えることが困難な状況にある子供がいます。こうした子供の気持ちや考えを適切に引き出す仕組み、取組は非常に重要であると考えております。  こうした観点から、県では、児童養護施設等で生活する子供たちに対して、児童福祉司による面談等の際に、子どもの権利ノートなどを活用しながら、自分の意見は自由に言っていいんだよというようなことを伝え、子供の意向を丁寧に確認することを徹底しております。  また、一時保護所においては、第三者である弁護士が直接子供の意見を聞き、支援の改善につなげる取組を昨年度から開始しているところでございます。加えまして、児童養護施設等では、子供の意見表明を支援するいわゆるアドボカシーにつながる取組として、従前からCAPという子供への暴力防止プログラムを導入し、そのプログラムの中に子供の個別相談の時間というトークタイムと呼ばれるものでございますが、そこにおいて、第三者による意見表明の機会を確保していただいているところでございます。
     今年度からは、里親等に委託された児童に関しましても、県として同様のプログラムを活用して、第三者による意見表明の機会を確保していく予定です。  現在、国においては、子供の意見表明を支援する専門知識を有する者、意見表明等支援員の活用に向けて具体的な検討が行われているものと承知しております。県といたしましても、現在の県の取組の成果などを見極めつつ、国の検討結果も踏まえながら、引き続きより適切に子供の意見表明を支援できる仕組みについて検討してまいります。  以上でございます。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君)4点質問をいただきました。順次回答いたします。  各学校では、児童生徒が自らSOSを発信できるよう、SOSの出し方に関する教育を行い、令和元年度から令和5年度にかけては、相談力向上事業によるワークショップを全ての県立高校と特別支援学校で実施しております。また、生徒との面談や学校生活に関するアンケート等を定期的に実施して、子供たちの悩み、不安や変化について把握するとともに、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーが医療や福祉の側面から支援し、必要な場合には専門家や関係機関につなげております。  県教育委員会では、児童生徒が発したSOSを受け止められるよう、LINE相談を平成30年度から実施し、令和3年度には749件の相談対応がありました。学校生活相談センターの運営も行い、令和3年度の相談件数は762件でございました。相談に対しては、臨床心理士等の資格を持つ専門家が対応し、状況に応じて各学校や関係機関と連携して支援しております。  今後も、引き続き児童生徒のSOSを素早く察知するとともに、相談支援体制を充実させてまいります。  高校におけるメンタルヘルスリテラシー教育についてでございます。  高校では、学習指導要領に基づき、保健体育で「精神疾患の予防と回復」を取り扱い、精神疾患の特徴や対処法などを学ぶことで、生涯を通じ、自らの健康や環境を適切に管理し改善していくための資質能力を育成しています。精神疾患を経験した方を外部講師として活用することについては、健康福祉部の若者向け心のバリアフリー事業により高校に講師を派遣し、心の健康や精神疾患の正しい知識の普及啓発に取り組んでいるところでございます。今後とも、外部講師の活用を含め、授業の内容や進め方などを工夫して、生徒の学びが深められるよう取り組んでまいります。  高校段階での宗教に関する教育についてでございます。  全ての高校生が履修する地歴・公民科の科目「公共」において世界の主な宗教の教義について学ぶとともに、憲法第20条で保障されている信教の自由や憲法第12条で述べられている自由や権利は公共の福祉に反しない範囲で行使しなければならないことなどについて学んでおります。  これらを踏まえ、実際の授業では、事例を基にディスカッションをする場を設け、実社会における様々な問題について、互いの意見を聞きながら自らの考えを深める学習を行っております。例えば、信教の自由に関する過去の訴訟例を基に、法的義務と道徳的義務とがどのように支え合って社会規範をつくっているのか、科学技術が急速に発展する現代社会において、生命倫理に関して宗教はどのような意味を持つのかなどについて話し合い、公正に意思決定ができる判断力を養っております。  今後、生徒が未知の宗教や価値観、考え方などと向き合うときに、批判的な思考を基に、多面的、多角的な判断ができるよう、予測困難な未来をよりよく生きていくための資質能力の育成に努めてまいります。  旧統一教会の信者による性教育、ジェンダー教育などについてでございます。  他県で事例があったと報じられた、旧統一教会の信者によって性教育やジェンダー教育などが行われた事例は、本県では確認できませんでした。  以上でございます。       〔県民文化部長山田明子君登壇〕 ◎県民文化部長(山田明子 君)3点御質問をいただきました。順次お答えいたします。  まず、県立の大学におけるカルト対策及び旧統一教会などによる布教活動についてでございます。  長野県立大学及び長野県看護大学では、カルトなどの宗教への勧誘を含め学生が大学生活を送る中でトラブルに巻き込まれないよう、新入生を対象としたガイダンスにおいて、キャンパスガイドブックの配付やセミナーの開催により注意喚起を行っております。また、学内における宗教的活動につきましては、宗教的活動を目的とした大学施設の外部貸付けを禁止するとともに、学内におけるチラシなどの掲示や配布を大学の許可制とするなどの対策を取っております。こうしたことから、両大学が把握する限りでは、これまで学内における旧統一教会などによる宗教勧誘活動はございません。  また、学生からの相談に応じる窓口におきましても、宗教勧誘に関する相談はこれまで寄せられていないというふうに承知しております。今後とも、教職員が学生一人一人に目を配り、適切な注意喚起や相談対応により、学生が安心して大学生活を送れるよう大学とともに取り組んでまいります。  次に、県消費生活センターへの霊感商法に関する相談件数についてでございます。  県消費生活センターで受け付けたいわゆる霊感商法に当たる相談件数につきましては、国と同様、開運商法として把握した件数でございますが、令和2年度が12件、令和3年度は13件となっております。今年度につきましては、9月28日現在で14件の相談を受け付けております。そのうち、7月8日以降の相談は10件となっております。  次に、脱退や脱退者のカウンセリングなどへの相談の対応についてでございます。  御本人や御家族から脱退に関する御相談をいただいた場合は、より専門的な対応が必要となりますことから、マインドコントロールに対応できるカウンセラーの紹介なども行っている被害者関係団体や被害者救済等を行っている弁護士団体などを御案内しております。  今後も、県に寄せられました相談に対しましては、案件に応じて適切に対応してまいります。  以上でございます。       〔警察本部長小山巌君登壇〕 ◎警察本部長(小山巌 君)霊感商法に関する警察への相談件数についてお答えいたします。  警察においては、霊感商法は悪質商法の一類型としてございます。類型ごとに統計を取ってございませんので、霊感商法に限った相談件数は把握してございませんが、悪質商法に係る相談件数については、本年は8月末現在で311件になり、7月8日以降は9月22日現在で83件となります。  なお、警察に寄せられた相談等について、刑罰法令に抵触する行為が認められる場合は、法と証拠に基づき適切に捜査を行ってまいります。  以上でございます。       〔25番続木幹夫君登壇〕 ◆25番(続木幹夫 君)先頃、安倍元首相の国葬儀が行われました。  45年前、私が統一教会のセミナーを受けたときにも、幾つかの国の首脳や要人の名前を挙げて、この人たちは既に文鮮明氏に屈服した。間もなく天皇も文鮮明氏の前にひざまずくことになるだろうという、今思えば笑い話のような突拍子もない詭弁を弄する手法で文鮮明氏の権威づけを行っていました。  このたびの国葬儀で、安倍元首相を美化したり、偉人化したりしたことによって、統一教会は、国葬が行われるほどの偉大な政治家、安倍晋三大先生も文鮮明氏の信奉者の一人であったと言って信者の信仰心を深めたり、信者獲得に利用されたりはしないかということを、一度洗脳されかけた者として懸念しているということを申し上げて、一切の質問を終わります。 ○議長(丸山栄一 君)次に、熊谷元尋議員。       〔12番熊谷元尋君登壇〕 ◆12番(熊谷元尋 君)熊谷元尋です。  初めに、公立中学校運動部活動の地域移行についてです。  公立中学校の運動部活動の在り方を検討してきたスポーツ庁の有識者会議では、6月に提言を取りまとめ、スポーツ庁長官に提出しました。これは、中学校の部活動を地域のスポーツクラブや民間団体等に移行するためのもので、令和5年度から令和7年度末までを改革集中期間としています。これにより、これまで学校教育の一環として生徒の自主的、自発的な参加で行われてきた部活動が大きく変化しようとしています。このような見直しが行われる背景には、少子化や学校における働き方改革等があると言われます。そこで、中学校生徒数の推移と、中学校の部活動における教員の長時間勤務の実態について、また、部活動の地域移行は教員の長時間勤務を軽減する狙いもあるようですが、教員が兼職兼業で部活動を指導する場合、結果として長時間勤務が軽減されないのではないでしょうか。さらに、なぜ今部活動を地域に移行するのでしょうか。部活動の課題と地域移行するメリットを内堀教育長に伺います。  次に、学校部活動の良い点に、運動能力の優劣に関係なく、共にスポーツを楽しみ、一つの目標に向かって頑張れることなどがあると思いますが、これまで部活動が果たしてきた意義と、学校部活動の良い点を地域移行する部活動にどう引き継いでいくのでしょうか。内堀教育長に伺います。  次に、県が令和3年度から上伊那郡飯島町の飯島中学校等を地域運動部活動推進事業の拠点校に指定し、研究していることを伺い、飯島町教育委員会に取組状況等についてお聞きしました。そして、令和3年度から拠点校として研究してきた成果をお尋ねしたところ、担当者は、自ら手を挙げ、拠点校に指定され、研究をしてきましたが、部活動の地域移行の難しさが改めて分かったことが成果ですとおっしゃっていました。このことは、改革集中期間の3年間で部活動を地域移行していくことの難しさを表していると思います。  そこで、県では、拠点校における研究の成果をどのように把握され、他の自治体と共有し、生かしていく考えでしょうか。内堀教育長に伺います。  次に、部活動の地域移行に取り組む中で、課題もありそうです。  例えば、地域の受皿の整備です。南信州地域の自治体は小規模町村が多いため、受皿となる団体が少ないのが実情です。そこで、受皿の整備に対する見解を内堀教育長に伺います。  次に、指導者の確保と質の向上です。  私は、部活動の指導は教員が望ましいと思いますが、教員の負担軽減には、教員以外の指導者の確保が必要です。県教育委員会では、日本スポーツ協会が運営している「公認スポーツ指導者マッチング」サイトの活用を進めているようですが、県内の登録者数は約70名だそうです。これでは部活動の種目全てに対応することは難しいと思います。  そこで、県は、企業や団体との間で43の包括連携協定を締結しています。協定の内容にはスポーツ振興や青少年の健全育成等も含まれ、締結先にはプロのスポーツチームを持つ企業も入っています。例えば、企業には、消防団活動に協力している企業に対する優遇措置等を参考にするなど、包括連携協定を生かして部活動の指導者を派遣していただいたらどうでしょうか。  また、内堀教育長は、6月定例会において、望月議員の質問に対して、日本スポーツ協会が行う研修等を受けて公認指導者資格を取得するなど、指導者としての一定の資質が必要と述べられています。私も、責任を持って部活動を指導するには指導者の資格の取得が必要と考えます。  そこで、例えば、県と包括連携協定を締結している三井住友海上火災保険株式会社では、部活動の地域移行に係る指導者の認証制度を創設するということですので、積極的に活用したらどうでしょうか。内堀教育長に伺います。  次に、スポーツが好きで中学や高校で経験した方、あるいは大学や実業団ですばらしい成績を残したという方が県内にはいらっしゃいますが、スポーツが好きだ、経験したことがある、だからよい指導者になるとは限りません。また、教員が部活動の指導者であっても、生徒に対する暴言や体罰といった指導上の問題や事故等で責任が問われることがありますが、部活動を地域移行した場合、責任の所在はどうなるのでしょうか。  次に、家庭の負担です。  喬木村の中学校の運動部活では、平日の指導は教員が行い、休日は外部指導者が担っているそうですが、同じ指導者であっても、サッカー部の指導者には謝金が出て、野球部や女子バスケットボール部の指導者は無償と差があります。そこで、今後部活動を地域移行した場合、指導者に対する謝金は家庭の負担になるのでしょうか。  また、生徒の送迎といった問題もあります。泰阜村では、現在野球部員は1人だそうですが、生徒の野球をやりたいという思いを応援するために、村が近隣の自治体まで送り、練習しているそうです。  そこで、部活動を地域移行した場合の家庭の負担に対する支援が必要と考えますが、見解を内堀教育長に伺います。  次に、横浜市など都市部の自治体と小規模な自治体が同じように取り組むことには無理があります。長野県は、長野県の実情に合った部活動の地域移行を検討する必要があると考えます。また、今後、生徒数の減少により、部活動の維持がさらに難しくなることが予想されます。平日の部活動の地域移行も見据え、生徒にとって持続可能な部活動を目指すことが大切です。例えば、南信州地域には、定住自立圏のほかに、北部、西部、南部といった町村のつながりがありますので、小規模自治体が単独で部活動の地域移行を検討するのではなく、広域的なエリアで検討すべきと思います。例えば、高森町では野球、松川町ではサッカー、豊丘村はバスケットボールなどと町村で分担すれば、指導者の人数は少なく、部活動の人数は増えるなどメリットがあると考えます。さらに、市町村の担当者からは、県教育委員会でコーディネーターを配置して市町村との連絡調整を望む声があります。見解を内堀教育長に伺います。  次に、部活動を地域移行することで、中体連等の大会への出場がどうなるのか、生徒や保護者には関心があります。学校での運動部活動は、大会への出場を目指すことでモチベーションが高まり、大会で良い成績を上げれば学校や地域が元気になります。また、生徒も、勝って喜び、負けて悔しい思いをしながら成長し、チームの仲間と目標に向かって努力することで達成感も生まれます。部活動が地域移行した場合、中学校単位や合同チームに加え、地域のクラブチーム等も大会には出場できるとお聞きしますが、現在の検討状況を内堀教育長に伺います。  次に、大北森林組合元専務理事との和解後の状況についてです。  令和3年7月に原告である県と被告である大北森林組合元専務理事との間で損害賠償金1億2,984万4,608円に関して和解が成立しました。和解をした主な理由は、被告である元専務理事が原告である県に対して行った森林作業道整備に係る補助金の不正受給行為に対し、不法行為に基づく損害賠償金と遅延損害金の支払い義務があることを認めたこと、そして、被告である元専務理事が、原告である県に対して莫大な損害を与えたことを深く反省し、原告である県に対し心から謝罪したことなどです。  私は、令和3年6月の農政林務委員会で、損害賠償請求の裁判をやめて和解することで県民にどのようなメリットがあるのか伺ったところ、林務部からは、和解により、県の主張が認められた上で、損害賠償事件が早期に終結することがメリットの一つと答弁がありました。そこで、裁判を終結したことが本当に県民の利益につながっているとお考えでしょうか。また、本件が終結する時期と、どのような状態になれば終結したと言えるのでしょうか。吉沢林務部長に伺います。  次に、元専務理事は、県に対して、損害賠償金と遅延損害金を支払う義務があることは認めても、払うとは言っていないと思いますので、本当に払ってくれるのか心配です。県は、和解が成立したら財産調査をして、財産が債権額に満たない場合には、元専務理事に対して今後の収入額に応じた支払い計画の策定を求めていくお考えを示していましたが、支払い計画は策定されたのでしょうか。  また、本年度に入って再度財産調査をされたようですが、換価可能な財産はあったのでしょうか。さらに、弁護士を通じて元専務理事との協議を開始した結果、納付が開始されたようですが、これまでに納付された金額と、毎月順調に納付されているのでしょうか。吉沢林務部長に伺います。  次に、債権額の全てと遅延損害金を納付することは難しく、県が請求を断念する事態も想定できます。そこで、元専務理事からの滞納が滞った場合や納付が困難になった場合にはどう対応されるのでしょうか。吉沢林務部長に伺います。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君)11点の御質問をいただきました。順次お答えいたします。  まず、中学校生徒数の推移と部活動における教員の時間外勤務の実態についてのお尋ねでございます。  本県中学校生徒数は、昭和30年代後半の約15万人をピークに、平成13年度には7万人、平成26年度は6万人を下回るなど、毎年平均1,000人弱のペースで減少を続けています。本年度は約5万2,000人となり、数年後には5万人を割り込むことが見込まれます。  また、部活動に特化した教員の時間外勤務時間については把握しておりませんが、令和3年度の勤務時間等の調査において、中学校勤務者の休日勤務時間は1人当たり月平均5時間27分であり、その多くが部活動指導によるものと考えているところであります。  続いて、教員の兼職兼業と長時間勤務についてでございます。  部活動の地域移行に当たっては、指導者の確保は大きな課題であり、教員が持つ専門的な知識や技量、指導経験を生かし、地域でスポーツ指導を行うことは、その課題解決の有力な選択肢の一つであると考えます。  中学校教員が兼職兼業の許可を得て従事する場合には、本来業務への影響が生じないようにするとともに、心身に過剰な負担とならないようにする必要があります。このため、兼職兼業の許可を行う市町村教育委員会に対し、本人意向の十分な確認、勤務校における業務内容や負担の検討、労働基準法の労働時間規則の遵守など、地域移行の趣旨に沿った適切な運用がされるよう周知してまいります。  運動部活動の課題と地域移行のメリットについてでございます。  運動部活動においては、少子化に伴う部員数の減少により、各校に設置できる部活動の種目が少なくなることや、団体競技において必ずしも充実した活動ができないことなど、生徒の多様な志向に十分に対応できなくなっていることが課題の一つと考えております。また、働き方改革が進む中で、教員にとって経験のない競技を指導することや休日を含めた部活動指導の時間の長さが負担となっていることも挙げられます。  このような中で、地域移行のメリットは、地域において持続可能で多様なスポーツ環境を整備し、子供たちの希望や望ましい成長を保障するとともに、将来にわたり継続してスポーツに親しめる機会が確保されることだと考えております。また、学校の働き方改革が推進され、教員が教員でなければできない業務に専念できることにより、生徒に対するよりよい学校教育の提供につながるものと認識しております。  学校部活動が果たしてきた意義や良い点をどう引き継ぐかについてのお尋ねでございます。  学校における運動部活動は、教育活動の一環として、生徒がスポーツに親しむ機会を確保するとともに、自主的、主体的な参加を通じた責任感、連帯感の涵養や自主性の育成を目的として行われてきたと認識しております。  こういった意義や、議員御指摘の良い点を地域のスポーツ活動に引き継ぐため、運営主体や指導者を対象に、長野県中学生期のスポーツ活動指針や学校の部活動の目的について理解を深める研修等を実施するとともに、いつでも視聴できる動画を作成するなど、引き続き部活動の意義等を伝えてまいります。  飯島中学校の研究成果をどう把握し、今後に生かしていくかについてでございます。  県教育委員会では、昨年度、飯島中学校を研究校に指定し、他の県内の研究校3校とともに部活動の地域移行に関する実践研究に取り組んでいただいております。飯島中学校の取組では、当初から県教育委員会の職員が町内の検討会等に参加するなど、町担当者や学校と連絡を密にし、課題や成果を共有してきたところでございます。実践を通して得られた課題や成果は、校長会等の場で随時紹介したり、飯島町の担当者が直接市町村担当者会議等において事例発表を行うなど、各市町村で今後の取組の参考にしていただいております。引き続き地域の実情に合った地域移行が行えるよう必要な情報提供に努めるなど、実践研究の成果を生かしてまいります。  小規模な町村の受皿の整備についてでございます。  地域移行の受皿となる運営団体、運営主体としては、まずは現在地域に設置されている総合型地域スポーツクラブやスポーツ少年団、競技団体やスポーツ協会などの既存のスポーツ団体が考えられます。小規模町村の中には、阿智村のように既存の総合型地域スポーツクラブが中心となり地域移行の準備に当たっているという例も伺っておりますが、既存のスポーツ団体がない、または受皿になれないケースもあると承知しております。このようなケースでは、今年度実践研究校に指定している南牧村のように、周辺町村と連携した新たな実施主体の設置を検討している事例もございます。地域移行の受皿の準備は、地域のスポーツ環境を把握している市町村教育委員会を中心に行うことが望ましいと考えており、県教育委員会としても、地域の実情に合った受皿づくりが推進されるよう支援してまいります。  企業や団体との連携協力についてでございます。  指導者の確保と質の向上は、地域移行に当たっての大きな課題と認識しています。議員御指摘の包括連携協定を締結している企業等をはじめ指導者となり得る人材を抱える様々な企業等に協力していただくことは、指導者を確保するための有力な手段の一つと考えられることから、より協力を得やすい仕組み等について研究してまいります。  また、指導者の質の向上については、御質問にあった三井住友海上火災保険株式会社の指導者認定制度や他県での先進事例等も参考にしながら、有効な方法について検討してまいります。  指導者による不祥事が起きた場合の責任の所在についてでございます。  地域移行後の活動において、指導者による不祥事が起きた場合の責任は、一義的には運営団体にあると考えられます。運営団体には、最善の注意を払い、子供たちが安全、安心の中で活動できるようなスポーツ環境の構築に努めていただくことが必要であり、そのために県教育委員会では指導者の質の向上を図る研修の実施などの支援を行ってまいります。  家庭の負担への支援についてでございます。  地域移行後の活動においては、指導者への謝金や保険料、広域で活動する際の生徒の送迎等の移動手段の確保など、新たに家庭の負担が生じるケースが予想されます。これらの予想される保護者負担については、地域のニーズや国が新設する様々な支援策を踏まえ、県教育委員会としてどのような支援ができるか研究してまいります。  広域的なエリアでの地域移行とコーディネーターの配置についてのお尋ねでございます。  県教育委員会では、市町村教育委員会に対し、将来の子供の数などの見通しを持ちながら、市町村単独で地域移行を目指すのか、広域で進めるのかについての検討を依頼するとともに、地域の実情に合った移行が行えるよう助言や事例の紹介等をしているところでございます。  また、コーディネーターにつきましては、議員御指摘のような県教育委員会に配置する方法や、広域内で関係者間の調整役を担うことを目的として市町村が配置した場合への支援など、地域には様々な要望があることは承知しております。県教育委員会としては、円滑な地域移行が進められるよう、市町村などの要望を丁寧にお聞きしながら、コーディネーターの配置等を含めた支援の方法について検討してまいりたいと考えております。  地域のクラブチーム等の大会出場に係る検討状況についてでございます。  現在、単独では大会に参加できないなど、一定の条件を満たす学校合同チームについては、中学校体育連盟が主催する大会への参加が認められております。日本中学校体育連盟では、今回の部活動の地域移行の動きに合わせ、来年度から主催大会への地域クラブ等の参加を可能とする方針を示し、具体的な参加条件を検討していると承知しております。  これらの状況を踏まえ、県中学校体育連盟においても、北信越各県などと情報交換を行いながら同様の検討を行っていると伺っております。部活動を行う生徒にとって、中学校体育連盟が主催する公式大会等への参加は、日頃の練習の成果を発揮できる貴重な機会であり、大きなモチベーションにもなっていることから、地域クラブ等に対する参加条件の緩和は円滑な地域移行を進めるために欠かせないものと認識しております。  以上でございます。       〔林務部長吉沢正君登壇〕 ◎林務部長(吉沢正 君)大北森林組合元専務との和解後の状況について御質問いただきました4点にお答えさせていただきます。  まず、裁判の早期終結のメリットと最終的な終結についてです。
     裁判の早期終結の効果は、債権を確定させ、回収に早期に着手することが可能となったこと、訴訟に係る経費の縮減と考えております。また、本事案の最終的な終結は、損害賠償金等の全額の回収ですが、債務者の支払い能力からは長期間に及ぶことが想定されます。引き続き相手方の状況を十分に把握しつつ、債権の回収に全力を挙げてまいりたいと考えております。  次に、支払い計画と財産調査についてです。  県では、和解成立後、直ちに財産調査を行いましたが、換価可能な財産の確認ができなかったため、弁護士を通じた協議を行い、元専務の収入及び元専務に対する県と大北森林組合の債権額に応じた額の納付が開始されました。現時点では完済までの支払い計画は策定されておりませんが、収入に応じた納付が行われています。また、財産調査につきましては、本年度も実施しておりますが、換価可能な財産の発見には至っておりません。  3点目、納付の状況についてですが、県に納付された額は、令和3年度分で6万円となっており、これまで継続的に納付が行われています。  4点目、納付が滞った場合などの対応についてですが、和解条項では、元専務は県と連絡できる状態を維持することとされているため、県側、相手方双方の弁護士を通じて連絡を取り納付を求めるなど、対応を検討してまいります。  以上でございます。       〔12番熊谷元尋君登壇〕 ◆12番(熊谷元尋 君)運動部活動の地域移行についてですが、この運動部活動の地域移行をする背景の一つに、先ほども申し上げましたけれども、教員の長時間勤務の軽減、こういったものがあります。そういったことを少しでも軽減することはとても大切なことだというふうに思いますが、私は、生徒がスポーツをやりたい、あるいはまた将来オリンピックを目指して一生懸命頑張りたい、そういった思いをぜひ実現できるような部活動の地域移行を市町村と連携して進めていただきたいというふうに思います。  大北森林組合元専務理事との和解については、昨年7月の調停が成立してから1年以上たって納付された金額が6万円というような答弁がありました。そして、それも計画的に納付されているというようなことではありますけれども、本当にこれが計画的というようなことが言えるのでしょうか。財産調査をしても換価可能な財産はなく、支払い計画もないのに、なぜこれが順調といいますか、計画的に納付されているというようなことが言えるのか。改めて吉沢林務部長に伺います。  また、支払い計画の策定はないということですが、それは、支払い計画の策定を相手方に求めても拒否されてしまうのか、あるいは、県としてこの支払い計画はそもそも必要ないというように考え方が変わったのか。また、そうであれば、なぜ考え方が変わったのか。この点についても吉沢林務部長にお伺いし、質問を終わります。       〔林務部長吉沢正君登壇〕 ◎林務部長(吉沢正 君)支払い計画の策定を求めることについての再度の御質問にお答えをさせていただきます。  和解成立後の県側、相手方弁護士を通じました協議の中で、収入に応じた額の納付が行われるということになりました。県としての考え方が変わったわけではございませんけれども、継続的に納付が行われているという状況になっております。  私どもといたしましては、状況把握をしっかりしながら引き続き債権管理を行い、回収に全力を挙げてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○議長(丸山栄一 君)次に、共田武史議員。       〔21番共田武史君登壇〕 ◆21番(共田武史 君)自由民主党県議団、共田武史です。今回は若者支援を中心に質問させていただきます。  知事におかれましては、4期目のスタートとなります。また、若者・子育て世代応援プロジェクトが始まる中、いま一度若者支援について考えていただきたいと思っております。  人生には、大きく影響を与えるイベント、卒業、就職、恋愛、結婚、出産があります。一般的な認識では、普通の人生はこれらのイベントをクリアすることが当然で、幸せな人生の前提条件とも言えます。一つでも欠けてしまうと幸せとは言えない人生になる可能性があります。  そして、この人生に大きく影響を与えるイベントのほとんどが20代、30代に訪れ、その後の長い人生に影響します。これらのイベントに失敗し、人生に諦めたり、ひきこもりになったり、場合によっては犯罪を犯してしまうこともあり得ます。  そんな中、どの程度若者の声が実際に届いているのでしょうか。子育て等出産後の声はかなり政治、行政に届いてきていると感じます。若者支援策のための必要な声はなかなか届かないとも感じています。学校を卒業して母子手帳をもらうまでの間、ほとんどの人が行政との関わりがなく、行政に声が届かないのも当然かもしれません。  また、若者には、若いから努力すればよいと考える風潮があります。そこから、若者は弱者として認められにくく、支援をしろとの声もあまりありません。若者も自らの苦境を発信しにくいとも思います。  人生の重要イベントをクリアできない若者を弱者と捉え、声を集める対応が必要であります。その声の元へ支援をしていかなければ、ひきこもり、犯罪を犯さずとも、将来望まないのに親も子供も伴侶もいない寂しい生活となる中高年が増えます。  また、教育の中の支援と新社会人への支援のバランスも考える必要を感じております。  学校時代には様々な支援があります。中1ギャップや高1クライシスなどに対応してくれ、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなど手厚い支援があります。一方で、卒業したら、新社会人は自己責任。この大き過ぎるギャップに課題を感じます。社会は厳しいです。だから、教育の中に厳しさも必要です。今の教育のように生徒学生を手厚く支えながら新社会人も支えないと、対応できないことになりかねません。  未婚化、少子化、ひきこもり、若者の大都市への流出、これらの原因は、同じかまたはつながっていて、大きな流れを見極めなければなりません。批判的な物言いになってしまいますが、現在の長野県の若者支援状況を見ると、学校時代は手厚く支援します。社会に出たら仕事、恋愛、結婚は自己責任です。でも、結婚して子育てするハッピーな人たちには手厚く支援します。仕事、恋愛、結婚に失敗しても大丈夫。ひきこもりにまでなったらしっかり支援します。このような状況に感じます。  また、若者の流出に対しての施策は、大都市へ流出してしまう人たちの気持ちは知りません。でも、お金を配るなどするから長野県にいてほしい、そのような状況になっている気がします。出て行く人の考えや気持ちを探ってほしいと思います。  今の20代、30代が恋愛、結婚、出産、子育てを充実した人生の中、40代、50代となり、経済を支える大切な世代です。予算を見ても、若者支援の予算や施策は全体から見てボリュームが少な過ぎます。  現在の若者の実態についてお聞きします。  まず、産業の視点から。中小企業の経営者は若者の対応に苦慮しているという話をよく聞きます。きつく叱ると翌日から会社に来なくなる。辞めてしまう。人手不足の中、苦慮しながら、腹の中が煮えくり返るほど怒りが込み上げていても笑顔で指導しているとのことです。  そこで、現在産業界が求めている若者の人材像はどのようなものでしょうか。また、実際とのギャップをどのように捉えているのか。林産業労働部長に伺います。  テレビニュースで若者の凶悪犯罪が報道されると、多くの方が、最近の若者はおかしいよと若者批判の声が聞こえてきます。一方で、若者の犯罪が減少しているとの話も聞きます。  そこで、少年犯罪について小山警察本部長に3点伺います。  刑法犯少年の検挙状況はどのようになっているでしょうか。少年の再犯者率はどのようになっているでしょうか。また、少年が再犯に及ばないためにどのような取組をしているのでしょうか。  最近の若者をZ世代と表現しております。ミレニアル世代の次の世代です。出世欲がない、浪費しない、社会問題に関心が強いなどの特徴があると言われています。こうした特徴は、社会の影響もあるでしょうが、教育の影響も大きいと思います。  今の若者を教育委員会はどのように見ているのでしょうか。これまでの教育が、少なからず若者の価値観や生き方に影響しており、生きる力が育まれているのか、教育が求めていた成果が出ているのかを確認する必要があります。若者の姿から、今までの教育をどう捉え、今後に生かしていくのか。内堀教育長に伺います。  社会から外れてしまった若者の支援について考えます。  少年院や刑務所に入った人が社会に復帰するためには、就職が必要です。更生保護に尽力している経営者の方に話を聞くと、刑務所から出所する方を就職させるために、自らハローワークで受入れ先を探し、就職支援をしているとのことです。  その経営者の方には、刑務所の方から直接電話で雇用してほしいとの相談があり、対応しているようです。更生保護協力雇用主会などありますが、十分に連携、機能できておらず、苦労しているようです。  また、就職しても、仕事の適性が合わず、離職してしまう問題もあるようです。再犯率を抑えるためには、更生保護対象者に合った職を探し、就職支援を行う受皿が必要です。  若者の再犯防止には、刑務所や少年院から出てきた方を適切な職業へのマッチングをする支援を行う受皿が必要だと考えますが、県の所見を福田健康福祉部長に伺います。  ひきこもり支援は充実していただいていることに感謝しています。根の深い問題であり、苦慮していると思いますが、引き続きの御努力をお願いします。  ひきこもりの方の抱えている問題から、少子化や未婚化など社会問題の原因が見つかるような気がします。そこで、平成22年にひきこもり支援センターを設置し、相談等の支援業務を行う中で、相当な事例を把握していると思いますが、ひきこもりの現状と課題、ひきこもりを生む社会の課題をどう分析しているか。福田健康福祉部長に伺います。  以前、一般質問でも根拠を基にお伝えしましたが、結婚をしたくないという方の多くは、過去に結婚を諦めた方も多く、アンケートなどの結果をそのままうのみにしてしまうのは危険だとお伝えしました。結婚、恋愛を諦めた人は、なぜ諦めたか、どんな問題があるか見極め、対応が必要だと思います。県として結婚を支援する取組に注力しているところですが、若い人の恋愛、結婚への諦めなどをもう一歩深く理解した上での対策が必要だと考えますが、所見を野中こども若者局長に伺います。  若者、特に若い女性が大都市へ移ってしまう理由は、都会へのライフスタイルの憧れが大きいと言われています。都会への憧れ、田舎へのコンプレックスはどこで感じているのでしょうか。原因を探して考える必要があります。  気づかない要因がたくさん隠れていると思いますが、私が一つ問題視しているのが、学校の制服です。私の出身中学校は、60年以上も前のデザインが今も変わっていません。県内の中学校の多くは同じような状態だと思います。半世紀以上前の制服で学校生活を送り、テレビやインターネットなどから東京など最新のデザインでおしゃれな制服を着た同世代を見ていれば、多感な子供たちが田舎へのコンプレックスを感じないわけがありません。こういった経験が積み重なり、都会への憧れを抱いてしまうのではないでしょうか。制服を変えるには様々な課題がありますが、県教育委員会が音頭を取って取り組んでいただきたいと思います。また、制服がかわいいからとの理由で高校の進路先を選ぶ子供たちもいます。高校の制服について考える必要があります。  そこで、半世紀以上も前の制服の中学校がある現状を受け、県内の中学校の制服についてどのように評価しているのか。高等学校の制服についての考え方を内堀教育長に伺います。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)産業界が求めている若者の人材像と実際とのギャップについてのお尋ねをいただきました。  産業労働部が今年8月に行った県内企業の採用担当者に対するヒアリングでは、新卒者に求めることとして、人間力やコミュニケーション能力、働くことへの自覚といった声が多く寄せられました。一方で、以前に比べ、受け身の若者が多い、コミュニケーションが苦手といった声も聞かれたところです。  他方、若者の離職に関する内閣府の調査では、「仕事が合わない」43.4%に続いて、人間関係が悪い、労働時間、休日への不満、賃金が低いといった理由が挙げられています。こうした状況から、企業側と若者双方ともに人間関係やコミュニケーションに重きを置いているものの、企業側が意欲や自覚を求める一方で、若者は労働内容や条件を重要視するという傾向が見受けられます。  県では、こうしたギャップを解消できるよう、現在、労政事務所によって高校生を対象にした出前講座を行い、就職に対する心構えを説明するなど、入社後にミスマッチを防ぐ取組を進めています。また、企業側に対しては、職場環境改善アドバイザーによる企業訪問に加え、本年度から採用力向上支援事業をスタートしたところです。  さらに、長野県SDGs推進企業登録制度、職場いきいきアドバンスカンパニー認証制度等によるディーセントワークの推進により、選ばれる職場づくりを後押ししてまいります。       〔警察本部長小山巌君登壇〕 ◎警察本部長(小山巌 君)少年犯罪について3点御質問をいただきました。  まず、刑法犯少年の検挙状況についてお答えいたします。  県下の刑法犯少年の検挙人員は、全国と同様、減少傾向が続いております。平成23年以降11年連続で減少しており、令和3年は前年比10人減の136人でございました。これは、統計を取り始めた昭和24年以降で最少であり、最も多かった昭和59年の3,035人と比べると20分の1に満たない水準となります。本年においても、暫定値ではありますが、8月末現在、前年同期比34人減の58人となっており、減少傾向が続いております。  次に、少年の再犯者率についてお答えいたします。  刑法犯少年のうち再犯者の占める比率は、ここ数年、20%台前半から30%前後で推移している状況でございます。令和3年は前年を6ポイント下回る22.8%でした。なお、本年8月末現在の再犯者率は、暫定値ではございますが、25.9%となっております。  3点目の少年の再犯防止のための警察の取組についてお答えいたします。  県警察では、過去に非行少年として取扱いがあった少年のうち、周囲の環境や自身に問題を抱え再び非行に走りかねない状態にある少年について、少年に手を差し伸べる立ち直り支援活動を実施しております。これは、保護者及び少年の同意を得た上で、ボランティア、地域住民、関係機関等と連携して、少年の就学就労に向けた支援、社会奉仕活動への参加機会の確保等を図るものでございます。具体的な活動事例としては、少年警察ボランティアと連携した農業体験、大学生ボランティアによる学習支援などがあります。  このほか、令和3年からの新たな取組として、県内の矯正施設である少年院との連携を強化しておりまして、入所少年に対する再犯防止に係る講話などを実施しているところでございます。  少年の再犯防止のため、引き続き少年の規範意識の向上と社会との絆の強化に向け、関係機関やボランティア等と連携した取組を積極的に推進してまいります。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君)いただきました2点の御質問に順次お答えいたします。  まず、今までの教育の捉えと今後の教育についてのお尋ねでございます。  今の若者が受けてきた教育を振り返ると、自立した個人の育成に尽力する一方で、みんなと同じことができることや言われたことを言われたとおりにできることなどが社会の要請として学校教育に求められる中で、知識や正解を暗記する学習の比重が大きくなり、他者と協働し自ら考え抜く学びが十分なされていなかったり、教師から指示がないと何をしてよいか分からず学びを止めてしまうなど、自立した学習者を十分育てられてこなかった面もあったのではないかと考えております。  これからは、一人一人の児童生徒が自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を尊重し、多様な人々と協働しながら、様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り開き、持続可能な社会の作り手となることが肝要だと考えます。県教育委員会としては、多様な他者との対話や協働、好きなことや興味のあることをとことん追求する探究など、学びの充実を推進することにより個人と社会のウエルビーイングの実現を目指してまいりたいと考えています。  次に、中学校や高等学校の制服についての評価や考え方についてでございます。  県内の中学校では、生徒や保護者等も参画し、機能性やファッション性に加えて、健康面やジェンダーにも配慮した選定が始まっております。制服については、校長の権限において適切に判断すべき事柄ではありますが、制服を設ける、設けない、設けるとすればどのような制服にするかといったことについて学校生活の主人公である生徒が決定のプロセスに当事者として関わることが大切なことだと考えております。  高等学校については、私服の学校の割合が全国で最も高く、生徒の主体性を重視する校風が根づいているものと認識しています。中学校以上に生徒たちが主体的に議論し、制服や校則も含めて自らの学校生活を見直していく取組が行われていますが、高校生は、在学中に18歳を迎え、主権者、あるいは民主制の当事者となることも踏まえ、一層の学校づくりへの参画を期待したいと考えております。  以上でございます。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)私には2点御質問を頂戴しております。  まず、若者の再犯防止のための就職支援についてでございます。  少年院等の出所者が地域において円滑に生活でき、再度犯罪を行わないためには、適正な職業に就くことが非常に重要であり、また、そのための支援も大変重要であるというふうに認識をしております。  出所者と企業とのマッチングを図る制度といたしましては、長野保護観察所で協力雇用主を登録する制度を行っており、県としてもその周知に取り組んでいるところでございます。  県が独自に行っている取組といたしましては、保護観察所、保護司会連合会と平成26年に保護観察中の少年の雇用及び就労支援に関する協定を締結しており、推薦された保護観察中の少年を県の事務補助職員として採用する制度を設けております。また、出所者の就労を含めた生活支援としては、県社会福祉士会へ委託している地域生活定着支援センターで相談対応を行うとともに、生活就労支援センター「まいさぽ」やハローワーク等の関係機関との連携によりまして出所者の状況に応じた支援を行うなど、きめ細やかな取組を行ってまいります。  次に、ひきこもりの現状と課題についてでございます。  ひきこもり支援センターの令和3年度の相談実績は、電話が延べ351人、面接が延べ275人となっております。また、令和元年度に実施したひきこもり等に関する調査では、ひきこもりに該当する方が県内に2,290人いらっしゃいました。39歳までの若年層が36.9%、40歳以上の中高年層が63.1%という状況でありました。ひきこもりの長期化、高齢化の状況が明らかになりました。  調査では、ひきこもりに至ったきっかけとして、疾病・性格など19.7%、失業12.5%、不登校11.1%となっております。ひきこもりに至る要因や背景は様々で、精神疾患のほか、不安や緊張などの心理的要因、学校や職場の人間関係などが複合的に絡んで生じるものと考えられます。  課題といたしましては、昨年度、県内の支援者等の協力を得て支援の課題や在り方を議論した検討会におきまして、ひきこもりに対する共通理解の促進、当事者や家族を地域で支える支援体制の整備、支援人材の育成などが指摘されたところでございます。  こうした解決に向けまして、まずは地域社会のひきこもりに対する理解を深めていくとともに、支援人材の育成、相談しやすい窓口や安心して過ごせる居場所の設置促進など支援体制の整備に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君)私には、若い人の恋愛、結婚への諦めを理解した上での対策について御質問をいただきました。  県の調査におきましては、独身でいる理由で最も多いというものは、適当な相手にまだ巡り会わないからというものではございますが、そのうち、そもそも人を好きになったりしない、好きな人はいるが交際に発展しないと回答した方が一定数いらっしゃることから、議員御指摘のように、恋愛や結婚への諦めを感じていらっしゃる方もいらっしゃるものと考えております。  現在、県と市町村では、AIを活用した結婚マッチングシステムの運用や婚活イベントの開催など、結婚を希望されている方に出会いの機会を提供する取組を行っているところではございますが、様々な理由でそうした婚活の場には積極的に参加しにくい方もいらっしゃると思っております。恋愛や結婚に前向きになれない方もそうであろうと感じております。  そうした方であっても、まずは気軽に気の合う仲間を見つけ、男女で交流する機会を持っていただけるよう、今年度新たに地域や業種を超えたグループ同士の交流支援や、参加者が自然な形でつながることのできるセミナーの開催などの取組を開始したところでございます。  結婚を応援する上では、若い方の恋愛や結婚への意向をしっかりと把握し、深く理解することは、効果的な後押しのために重要であると考えております。議員御指摘のように、今後は、結婚になかなか前向きになれない方も含めて、その思いやそこに至った背景までもしっかりと聞き取るよう努めた上で、若者が結婚を諦めることのないようしっかり支援をしてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔21番共田武史君登壇〕 ◆21番(共田武史 君)今までの教育の在り方を振り返って、不足していた部分と産業界とのギャップが全く同じような内容だったことに、やはりなという感じはしております。  今、私たちの周りの中小企業の経営者は、若い人たちの対応に苦慮しています。人手不足の中、若い人たちに合わせざるを得ない状況になっています。その形が適切なのかもしれません。ただ、会社側が若い人たちに経営方針等を合わせ、その会社が成り立ったとしても、その会社、また日本の経済が世界で戦えるのか、一抹の不安があります。十分承知だと思いますが、教育とはそういったところまで影響するということを引き続き見つめながら進めていただければと思います。  少子化対策推進条例を議員提案で制定しました。若者・子育て世代応援プロジェクトの内容を見て、まだ少し違和感を感じております。  全国の市町村、都道府県、国を挙げて、10年間以上、出会いの場の創出、子育て支援、同じようなことをやってきて、実際失敗に終わっております。今までの考えの延長線上に少子化の解決はないと思っています。このプロジェクトだけで少子化が本当に解決できるとは正直思いません。  10年前、市議会で少子化対策のために婚活事業を何度も提案しました。職員や他の議員から冷ややかな目で見られ、笑われました。行政のやることではない、そんな理由でした。当時から婚活の前に恋愛という問題があることを感じておりましたが、私自身も、批判を恐れ、それ以上踏み込むことはできませんでした。  今やっとぎりぎり恋愛というものをこの県議会で議論できる時代に変わってきています。以前提案したもてる長野県民運動も同僚議員が笑っていました。でも、そのくらい大胆に考え方を改めなければ、少子化なんて解決できるわけがありません。  自分の身の回りの多くの若者に、人と出会い、結婚できる人、恋愛できる人、結婚できない人、恋愛もできない人、そして完全に諦めてしまった人が何人もいます。そういった方々を肌身で触れ、感じております。パートナーもおらず、一人暮らしで40歳を迎えた友人、知人を見て、もっと何かできなかったのかと悔しい思いもしています。
     10年前から少子化が社会問題となり、様々な問題が顕在化すると言われていました。少子化を克服できなかったため、高校再編、働き手不足、経済の縮小、過疎化、今解決しようとする課題の多くは少子化が起因しています。10年後さらに深刻化するのは明らかです。行政が、批判を恐れず、トライ・アンド・エラーを繰り返し、解決するしかありません。  そこで、卒業、就職、恋愛、結婚とイベントが大きく若い人の人生や価値観に影響することを踏まえ、若者に寄り添った考えがなければ、少子化も若者の大都市への流出も止められるとは思いません。知事の4期目の若者支援についての考えを阿部知事に伺います。  長野県歯科口腔保健推進条例についての質問です。  先日、長野県歯科保健推進条例の改定を行いました。大分、歯科に対する理解も深まって推進されていると感じますが、取組状況について質問いたします。  歯科口腔保健啓発活動及び歯科健診受診率向上に向けて、これまでの取組状況と課題、今後の方向性、災害時歯科医療及び防災計画等における歯科分野の充実に関するこれまでの取組状況と課題、今後の方向性、多職種連携及び医科歯科医療連携に関するこれまでの取組状況と課題、今後の方向性、オーラルフレイル対策の取組状況と課題、今後の取組、そして、県担当課への歯科医師配置への効果、以上5点を福田健康福祉部長に伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私の4期目に当たっての若者支援の考え方についてという御質問であります。  何度かここで申し上げたように、今回の選挙で女性や若者から選ばれる県づくりということを強く訴えました。もとより、これまでも様々な取組を進めてきたわけでありますけれども、今回あえて強調させていただいたのは、今御指摘があったように、これまでの取組を粛々と進めているだけではなかなか十分な成果が上がらない。人口自然減にも社会減にも本格的な対応となっていないのではないかという思いで、改めて県民の皆様方に訴え、この女性や若者から選ばれる県づくり、そして若者や子供たちに対するしっかりとした支援をしていきたいというふうに考えています。  今、総合計画の中でもそうしたことをしっかり打ち出さなければいけないということで検討しているところでありますが、共田議員の御質問をお伺いする中で、いろいろと御視点をいただけたというふうに思います。  まず、若者にとっては、お話がありましたように、学校入学・卒業、就職、恋愛、結婚、出産、様々な人生の大きなイベントが若い時期に集中していますし、また、その時々に、一人一人の若者は希望を持つ反面、悩みながら、不安を抱えながら選択をしているというふうに思っています。私どももそういうものにもっとしっかり寄り添っていかなければいけないというふうに思います。  また、犯罪を犯してしまった若者、ひきこもりの若者、あるいは結婚しない、結婚できない若者、同じ若者といっても、本当に様々な状況に置かれている若い人たちがいるわけでありますので、そうした人たちの思い、なかなか声を上げたくても上げない方が大勢いるということにも我々は思いを致しながら対応していかなければいけないというふうに思います。こうした取組は本当に極めて重要でありますし、これから大きな政策転換を図っていく上ではしっかりと行っていかなければいけない部分だというふうに思います。  この若い世代への支援や少子化への支援というのは、私が昔国家公務員をしていたとき、もう20年以上前でありますけれども、ヨーロッパに視察に行かせてもらいました。ヨーロッパの諸国は、その時点で今の日本のレベル以上に家族政策にしっかり力を入れていて、この分野は、我が国が遅れている分野だというふうに思っています。  恋愛、結婚や就職支援は、かつては家庭や地域社会の役割であったことが、だんだんそうした機能が弱くなる中で、本来誰かが受皿とならなければいけないところが、自己責任という形にならざるを得なくなってしまっています。まさに、こうしたところに我々行政がどうアプローチしていくのかということが問われているというふうに思っておりますので、多くの皆様方のお考え、そして当事者の皆様方の声や思いもしっかり把握しながら、この若者支援、そして女性や若者から選ばれる県づくりをしっかり進めていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)長野県歯科口腔保健推進条例に関連する5点について御質問をいただきました。  まず、歯科口腔保健に係る啓発活動といたしましては、これまで歯と笑顔のフォトコンテストや県民大会の開催等による8020運動の普及啓発、歯科衛生士の市町村の派遣などに取り組んでまいりました。歯及び口腔の健康づくりが全身の健康づくりと密接な関係にあることを踏まえますと、これらを一体化させた啓発活動を積極的に進めていくことが必要になってきていると考えております。  また、歯科健診受診率については、定期的に歯科健診を受ける県民の割合が低い状況にあることから、セミナーの開催等の取組を行ってきたところですが、今年度からは、県内10圏域でお口の健康推進員を認定しておりまして、各地域において裾野を広げた取組を進めてまいりたいと考えております。  次に、災害時歯科医療及び防災計画等における歯科分野の充実についてでございます。  長野県地域防災計画を踏まえまして、平成11年に県歯科医師会と災害時の歯科医療救護についての協定を締結いたしました。災害発生時における歯科医療救護班の派遣等について明文化したところでございます。  今後の取組の方向性といたしましては、被災者の口腔衛生を保つことは健康を守るために大変重要と考えております。避難所等において口腔衛生指導を行うなど、被災者の口腔に係る保健衛生活動をさらに充実させていきたいと考えております。  次に、多職種連携及び医科歯科医療連携についての御質問でございます。  歯科に係る多職種連携につきましては、歯科訪問医療を受けやすい環境を整備するため、医療、介護、福祉に従事する専門職を対象とした研修会を開催してきたところでございます。今後は、これまでの取組に加え、予防の観点から、オーラルフレイルを含めたフレイル対策を多職種連携により推進するため、先ほど申し上げたお口の健康推進員による啓発等を実施してまいります。  また、医科歯科の医療連携につきましては、県歯科医師会におけるがん診療医科歯科連携事業運営協議会の開催を支援しております。手術前後の歯の清掃や歯周病の処置などによる合併症の予防を進めてきたところでございます。  このほか、歯周病が糖尿病の発症や進行に大きな影響を及ぼしていることを踏まえますと、さらに医療関係者等に対する普及啓発を行うことが必要であると考えておりまして、具体的な方策について検討していく必要があると考えております。  次に、オーラルフレイル対策についてでございます。  オーラルフレイル対策につきましては、これも歯科衛生士を市町村に派遣するなど、普及啓発を進めてきたところでございますが、オーラルフレイルとフレイルを一体化して実施するため、オーラルフレイル対策タスクフォースを新たに設置しております。現在、普及啓発ツールの作成、予防活動、相談窓口の整備等につきまして検討を行っているところでございます。  以上、長野県歯科口腔保健推進条例に関する取組状況や今後の方向性につきまして4点にわたり申し上げましたが、県民の健康の保持増進及び健康寿命の延伸という条例の目的の実現に向けまして、こうした方向性を来年度策定予定の次期歯科口腔保健推進計画にも反映しながら、歯科口腔保健の一層の充実に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、県担当課への歯科医師配置の効果についてでございます。  本年4月から歯科口腔に関する施策を健康増進課に移管するとともに、常勤の歯科医師を配置して、歯や口腔と体全体の健康づくりを一体的に推進しているところでございます。  歯科医師配置の効果につきましては、関係機関・団体との円滑な連携や専門的知見に基づく歯科口腔施策の展開が可能となったところでございます。また、先ほど申し上げたとおり、歯及び口腔の健康づくりが全身の健康づくりと密接な関係にあることを踏まえた視点が新たに加わることで、歯科口腔分野にとどまらず、健康づくり分野全般に多大なよい影響が生じていると考えているところでございます。  今後も、こうした効果を生かしながら県民の健康づくりに資する取組の充実に努めてまいります。  以上でございます。       〔21番共田武史君登壇〕 ◆21番(共田武史 君)人生の重要イベントを全てクリアした子育て家庭と結婚前の若者のステージはまるで別物だと思います。分けて考えて支援する必要があると思います。  どうか4期目で支持率の高い阿部知事には、全国に先駆けて、批判を恐れず、大胆に少子化対策、若者支援に取り組んでいただきたいと思います。 ○議長(丸山栄一 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時32分休憩          ──────────────────         午後2時49分開議 ○議長(丸山栄一 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  高村京子議員。       〔47番高村京子君登壇〕 ◆47番(高村京子 君)国保運営の現状と今後の方針について健康福祉部長に伺います。  2018年度から国民健康保険の運営主体が都道府県管理となり、県が市町村に必要な納付金をお願いし、保険給付は県が責任を持って支払うことになりました。そこで、この5年間を振り返り、国保運営の現状と課題を伺います。  県内全世帯の約33%が国保世帯です。高齢者などの年金生活者に加え、非正規雇用者が増えて、加入世帯の所得水準は低く、保険料は平均で所得の15%と高く、受診を控えて病状が悪化し、手遅れになる人も出ています。また、長野県は、被保険者3,000人以下の町村が43あり、自治体格差が大きいことなど、構造的課題が他県と比較しても顕著です。  県は、昨年3月、長野県国民健康保険運営方針を策定しました。国民健康保険制度が抱える課題と対応についてどのように捉え、進めようとされているのか。伺います。  今年5月の長野県保険医協会の調査によれば、滞納世帯は全世帯の15.6%、3万6,210世帯あり、保険証が未交付世帯も663世帯、短期保険証は5,793世帯あります。  一般財源からの繰入れで保険料の値上げを抑える努力をしている自治体もあります。一般財源からの繰入れはなくす方針ですが、市町村の独自の努力を尊重すべきと考えます。  所得に占める保険料割合は、国の資料では、保険料率比較では、協会けんぽで事業主負担を含めまして7.5%、組合健保で5.8%ですが、国保では約15%と3倍、4倍の負担となっているのが現状です。2019年の県内国保1世帯当たりの年間所得は60万7,000円余、保険料は約9万円、負担が非常に重いです。滞納世帯に対する福祉的対応が大切ではないでしょうか。この点で市町村に対しどのように助言されているのか。伺います。  特に、子供に係る均等割の負担が重く、平成29年度では、医療分、後期高齢者分、介護分の負担を合わせると県平均で3万5,000円余りにもなります。均等割の負担軽減を日本共産党県議団は求めてきました。ようやく今年度4月からの均等割の未就学児童の半額軽減が実施され、国が半額、県と市町村で4分の1ずつの負担で均等割半額軽減となりました。この対象世帯と人数について伺います。  しかし、就学児童がいる世帯には恩恵がないのです。栄村や南木曽町では、軽減措置の残り2分の1を、この4月に合わせ、独自に減免されました。長和町では、半額減免の年齢を18歳まで拡大しました。子育て支援として、軽減対象となる年齢の拡大を国に求めていただきたいが、いかがでしょうか。さらに、均等割の軽減、廃止に向けて市町村と協議するなど努力を求めますが、いかがでしょうか。  国による新型コロナ感染症での国保減免制度ができました。令和元年から3年まで、この減免制度を利用できた世帯はどうでしょうか。今年度末3月の終了となっていますが、減免する市町村への支援を継続し、さらに延長するよう求めていただきたいが、いかがでしょうか。  新型コロナ感染拡大で困窮する皆さんが増えています。さらに、現在は物価の高騰が家計と営業を直撃しており、保険料負担がさらに重くなればまず食料を減らすとも言われます。命と健康を守る国民皆保険制度の役割は大きいはずです。  国は、かつて国保税財源の5割を負担していましたが、今は2割台に減らされており、加入者と自治体の負担は増しています。そもそも、社会保障制度として問題が山積です。国に対し、国保への財政支援を拡充するよう強く求めていただきたい。県としても高い国保料の軽減に市町村とともに努力をしていただきたいが、いかがでしょうか。以上、健康福祉部長に伺います。  続いて、長野県森林づくり県民税について伺います。  森林づくり県民税は、平成20年度から導入され、現在は3期目、今年度末で一旦終了となります。特に、3期目の活用状況はどうでしょう。毎年度の税収、予算、決算の状況、取組の中心である間伐の実績を伺います。  当初から、一番の目的は、森林機能の健全化のため、里山の森林に手が入っていない荒廃した森林の間伐が目的ですが、3期目では、林務部以外の事業にも拡大されました。これについてどのように振り返り、検証されているのか。伺います。  次期森林づくり県民税は、再造林事業に大きくシフトする方向を示されました。再造林では、今までは年に250ヘクタール前後実施されてきましたが、今後毎年160ヘクタールずつ増やし、令和9年度では1,000ヘクタール、約3倍もの再造林面積を目指すとされています。この目標を実現するためのマンパワーはどのように確保するのか伺います。実現可能でしょうか。大きな疑問があります。大北森林組合不正事件では、マンパワーもない中、予算消化のために無理な事業の押しつけが原因とも言えます。  国による森林環境税は、2024年度から1世帯1,000円の課税がなされます。既に活用事業は前倒しで実施されています。人口割の比率が多く、小規模町村では対応職員が少ないなど、現状に合わない制度設計になっているとも聞かれます。森林環境譲与税についての活用の目的と市町村の活用状況、また県の市町村に対する役割についても伺います。  コロナ禍での地域経済の落ち込み、さらに諸物価高騰が暮らしを直撃し、賃金は増えるどころか減っております。家庭は厳しさを増しています。県独自の森林づくり県民税と国による森林環境税の負担も重なります。県としての森林づくり県民税活用事業は、本来一般財源を充てるべきではありませんか。以上、林務部長に伺います。  高校改革について教育長にお伺いします。  学びの質的な低下を手をこまねいて看過することはできない。少子化が進む中、多様な学びの場の創造を掲げて、新たな学びの推進と再編・整備の方針を示されました。こうした改革の方向は必要と考えますが、さらに教職員の多忙化、長時間勤務が心配されます。どのように対応されているのか。伺います。  高校再編では、少子化ばかりがクローズアップされているように感じております。内堀教育長は、再編・整備第三次案の説明会のビデオ挨拶で、誰一人取り残すことなく子供たち中心に考えると表明されています。多様なニーズを持った子供たち一人一人に対応できる温かい高校改革が今こそ求められていると思います。  再編計画では、89校から1期で11校の減で78校、さらに2期の計画では15校ほどの閉校の名前が挙がっていますし、再編基準に照らすとさらに広がる可能性もあると思います。地域に根づいた高校がなくなるのではないか、普通高校がなくなる地域がさらに広がるなどたくさんの懸念があります。第2期再編計画の策定はどのような考えの下検討されてきたのか。伺います。  県教育委員会は、高校再編・整備計画の説明会を大変精力的に開催されておいでになりました。私も2か所の説明会に参加させていただきました。会場の発言では、参加者が少ないがどのように説明会を周知したのかなどの御意見がありました。大きな再編計画ですが、多くの県民の皆さんに知らされていないと思っております。一番生徒や保護者のことを理解している高校現場の教職員の意見反映も大事と考えます。再編校においてどのように議論されているのか。伺います。再編後の入学者となる小学生、さらに中学生やその保護者も含めて、もっと子育てをしている世代にも広く周知し、関係者の御意見を聞く機会が必要ではありませんか。見解を伺います。  定時制の再編計画案が示されました。定時制は、不登校や外国籍など様々な生活、学習歴のある子供たちの学びの場として役割を果たしてきました。定時制で救われたと感謝する保護者の発言もたくさんあったと思います。今回の再編・整備案でこうした定時制を希望する子供のニーズを満たすことができるのか。伺います。  特別支援学校の高等部の生徒が増えて、養護学校は定員オーバー状態が続いております。障がいのある子もない子も地域で共に学ぶインクルーシブ教育への方向が求められていますが、高校再編・整備計画での議論はされたのか。お伺いします。  高校での特別支援教育の充実に向けて、現状と今後の見通しについて伺います。  100年近い歴史を持つ高校も増え、校舎の老朽化も進み、学習環境改善の遅れは深刻です。全ての県立高校と特別支援学校の普通教室にエアコンが設置されたことは歓迎します。しかし、いまだ和式のトイレで我慢している学校があります。また、老朽化した箇所の修繕要望も相当学校現場から出ていると思います。その要望に対する対策や予算の確保状況はどうか。伺います。  再編・整備高校だけでなく、現在の子供たちの学校環境の充実に修繕予算を増やし、加速してください。特に、トイレの洋式化の改修計画について伺います。  県立高校から遠距離に住む生徒は、通学費の負担が重くのしかかっています。交通機関が不便のために家族が送迎する家庭もあります。通学費の支援について、県では遠距離通学費貸与制度がありますが、この制度の利用実績はどうでしょうか。また、家族による送迎費などを含む通学費の補助を充実していただきたいが、いかがでしょうか。以上、教育長にお伺いいたします。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)国民健康保険につきまして5点御質問を頂戴しております。  まず、長野県の国民健康保険の課題と解決に向けた取組についての御質問でございます。  本県の国民健康保険におきましては、他県と比べて被保険者の年齢構成が高く、また小規模保険者が多いという特徴がございまして、御指摘のとおり保険料の格差も大きいといった状況がございます。  こうした中、今後も被保険者数の減少と1人当たり医療費の増加が見込まれることから、保険料水準等の平準化により公平性を高めることで、個別の市町村を超えた大きな枠組みで医療費を分かち合うという制度をより安定的なものとしていく必要があると考えております。  このため、県では、市町村と協議の上令和2年度に策定いたしましたロードマップに従いまして、納付金の算定に反映する医療費指数の原則2次医療圏単位での統一を図っていく、あるいは保健事業による医療費指数の格差の縮小を図っていく。こうした保険料水準等の平準化の取組を進めているところでございます。  次に、滞納者に対する対応でございます。  滞納者への対応につきましては、特別な事情の有無の把握を適切に行うことや納付相談の機会を確保することなどが大変重要であると考えております。そこで、市町村が法令に基づいて滞納者に対し短期被保険者証や資格証明書を交付する際、戸別訪問等により実態把握に努める、資格証明書の交付までには可能な限り短期被保険者証を活用し、滞納者との接触の機会を確保するよう努める。保険税の減免制度や生活保護等の保険窓口の周知を行い、滞納者が相談しやすい環境を整えるといった点に留意した上で交付するよう市町村に助言をしております。  それから、未就学児のいる世帯数等についてでございますが、均等割の軽減措置の対象となる未就学児のいる世帯数、人数は、令和4年8月末日現在で6,611世帯、8,686人となっております。  軽減世帯の拡大について国に要請してほしいという御質問でございますけれども、子育て世帯の負担軽減という今回の軽減措置の趣旨にのっとりまして、これまでも、全国知事会を通じ、また県単独でも、対象範囲や軽減割合のさらなる拡充について国に要望してきたところでございまして、今後も引き続き要望を行ってまいります。  それから、均等割の軽減、廃止に向けて県も努力してほしいという御質問でございます。  国民健康保険料、保険税の均等割の賦課や今回の未就学児に係る軽減措置は、国民健康保険法等の法令に基づくものでございまして、それらを自治体が独自に廃止したり国の基準を超えて軽減するといったことはできない仕組みとなっております。  今回の未就学児に係る軽減措置が導入された昨年6月の健康保険法等の改正の際には、市町村や都道府県等における財政状況等を勘案しながら、対象者や減額幅のさらなる拡充を引き続き検討することという参議院厚生労働委員会の附帯決議がなされていることから、県といたしましては、対象範囲等の拡充を国に要望しつつ、国の動きを注視してまいりたいと考えております。  それから、コロナによる減免を受けた世帯数でございますが、市町村国保におきまして令和元年度から令和3年度までに減免を受けた世帯数は6,674世帯となっております。令和5年度以降の国の財政支援の継続については既に国に要望をしておりまして、今後も機会を捉えて国に要望をしてまいりたいと考えております。  それから、国民健康保険に対する国による財政支援についてでございます。  国に対しましては、国定率負担の引上げ、財政調整交付金の実質的増額の維持、低所得者に対する保険料の軽減措置の拡充、非自発的失業等の自治体の責めによらない要因による医療負担への対応などにつきまして要望を行ってきており、今後も持続可能な国民健康保険制度の確立に向けて財政支援の維持拡充を国に要望してまいります。  保険料を軽減させるための努力をしてほしいというお尋ねでございますが、保険料を軽くしていくためには、保険者に交付される公費の獲得、それから医療費の適正化、収納率の向上などが重要だと考えております。  現在、県といたしまして、医療費適正化に向けた取組等に応じて交付される保険者努力支援制度交付金の獲得の支援、あるいは圏域、市町村の健康課題を明確化し、専門的助言を行う各種保健事業の実施、データ分析に基づく市町村データヘルス計画の策定支援、ワーキンググループによる収納率向上のための取組の検討等に取り組んでいるところでございまして、今後も保険料の軽減に向けて市町村とともに努力してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔林務部長吉沢正君登壇〕 ◎林務部長(吉沢正 君)森林づくり県民税に関連して5点お答えさせていただきます。  まず、第3期の実績についてですが、第3期における森林づくり県民税の税収は、各年ほぼ同額で約6億8,000万円となっております。予算に関しては、最も多い年が令和2年度で約10億8,000万円、最も少ない年が令和4年度で約6億9,000万円となっており、決算に関しては、最も多い年が令和2年度で約10億4,000万円、最も少ない年が平成30年度で約5億6,000万円となっております。  御質問の里山の間伐につきましては、第3期では2,800ヘクタール余りを実施する見込みでございます。  次に、使途拡大に対する振り返りについてです。  第2期末の議論の中で、みんなで支える森林づくり県民会議の皆様から、対象地域を里山に限定せず、森林への多様な要請に応える施策が必要との御意見もあり、第3期から林務部以外の取組にも税財源を活用してきたところです。  他部局関連の主な取組の状況を見ると、エコツーリズムガイドの育成や自然教育・野外教育の推進のように、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から一部事業の実施が困難なケースがあった一方、信州やまほいく認定園の活動フィールドの整備については、令和3年度末で箇所数が目標の8割、また、河畔林の整備については目標箇所数の整備が行われるなど、各事業の進捗に差はありますが、多様な県民ニーズに一定程度応えることができたと考えております。  3点目に、造林事業のマンパワーの確保についてです。
     今後増加する再造林を着実に進めていくためには、植林やその後の下刈り等の保育作業の従事者を確保していくことが必要になりますが、夏場に業務が集中するため、林業事業体に通年で雇用される従事者だけでなく、より多くの人が林業に関わる仕組みづくりが重要です。  このため、従来から実施している新規就業者の確保、技術の習得、就労環境の改善の取組に加えて、次期森林づくり県民税を活用した他産業との兼業や季節的な雇用など、多様な林業の担い手の確保に向けた検討を進め、段階的に増加していく再造林への対応を図ってまいります。  4点目に、森林環境譲与税の活用の目的と市町村の取組状況、県の役割についてです。  森林環境譲与税については、市町村が主体となり、これまで森林所有者による手入れがされてこなかった森林の管理を持続的に進めることを主な目的としています。譲与税を活用した取組状況ですが、令和4年度では、全市町村への譲与見込額のうち約7割が当初予算において事業化されています。  また、令和3年度までに事業化された取組においては、所有者に代わり市町村が行う間伐やそのために必要な意向調査、作業道整備などに関する施策が全体の9割弱を占め、そのほか、木材利用や担い手確保などに活用されています。  県の役割ですが、令和元年度から本庁に専任職員、地域振興局に支援員を配置する森林経営管理支援センターを設置し、市町村職員向けの研修、経営管理制度の事務マニュアルの作成、GIS情報の整備など、市町村が譲与税を活用して行う取組の支援などを行ってきております。  最後に、県民税活用事業に一般財源を充てることについてです。  今回の基本方針案でも触れさせていただいておりますが、県の財政状況は、高齢化等による社会保障関係費の増加や防災・減災対策の強化に伴う県債残高の増加等により、今後も引き続き厳しい状況が継続する見通しであることから、森林・林業の課題にさらに取り組むためには一般財源等のみでは難しい状況と認識しております。  主伐・再造林の推進など、2050年ゼロカーボンを実現し、林業県への飛躍を図るため、喫緊、重要な施策を進める上で重要な財源として森林づくり県民税の延長をお願いしたいと考えておりまして、県民の皆様に御理解をいただけるよう丁寧に説明を行ってまいりたいと考えております。  以上です。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君)9点御質問を頂戴しました。順次お答えを申し上げます。  まず、高校改革の推進と教職員の長時間勤務等への対応についてでございます。  県教育委員会では、平成30年9月に策定した「高校改革~夢に挑戦する学び~」実施方針に基づき高校改革を推進しているところですが、あわせて、働き方改革にも積極的に取り組んでいるところです。  例えば、部活動における外部指導者、部活動指導員の活用、教員業務支援員の配置など外部人材の活用とともに、統合型校務支援システムの導入など、ICTの活用により教員の業務負担軽減を図ってきているところであります。  このような取組により、令和元年度から令和3年度までの直近3年間の教職員の時間外在校等時間は、平成30年度比で70%から90%程度になってきており、その縮減が図られていると認識しておりますが、引き続き教職員の働き方改革を推進してまいります。  次に、第2期高校再編における高校配置の考え方についてでございます。  2007年度から12年間にわたって進めた第1期高校再編においては、全ての高校に対して同一の再編基準を設定していましたが、今期の計画を策定するに当たっては、県土が広く中山間地が多い本県の地理的特性を考慮し、都市部存立校と中山間地存立校という二つの区分を設け、規模や立地の特性を生かした高校づくりを目指すとともに、都市部にも中山間地にも高校が存立する状態を将来にわたって可能な限り維持することを念頭に置いて県立高校の再編を進めることとしています。  具体的な再編計画の策定に当たっては、高校教育の将来像を地域とともに検討するため、高校の将来像を考える地域の協議会を設置いたしました。その協議会からの意見提案を基に、現行の4通学区ごとに、長野県の子供たちが、高校進学に際して、通学可能な範囲でほぼ同一の選択肢が確保されるよう配慮いたしました。本年5月公表の再編・整備計画三次案まで旧12通学区ごとに段階的に示してきた計画は、全てこのような考えの下に策定したものでございます。  高校再編対象校での教職員間の議論についてでございます。  既に決定した再編・整備計画一次・二次分の再編対象校では、統合新校ごとに新校再編実施計画懇話会を設置し、地域の自治体や企業、対象校の同窓会、PTA、生徒の代表等の参画を得て、目指す学校像をはじめとした新たな高校づくりの検討を行っております。懇話会には、対象校の校長、教職員も構成員として参加するとともに、各校の中に準備委員会等を組織し、教職員が校内議論を重ね、新たな高校づくりを進めているところでございます。  県教育委員会としては、統合新校ごとの再編実施計画の策定に当たっては、現場のことを最もよく知っている教職員の主体的かつ積極的な関与が不可欠と認識しております。今後とも、懇話会や各校の準備委員会等を通じて教職員の意見を反映しながら、学校現場とともに将来の子供たちのことを第一に考えた新たな高校づくりを進めてまいります。  高校再編計画の県民への周知についてでございます。  まず、昨年9月までに確定した再編・整備計画一次・二次についてですが、これまで、市町村教育委員会を通して小中学校等に周知するとともに、旧通学区ごとの住民説明会等でいただいた御意見と併せ、現在、県教育委員会のホームページに掲載しております。  また、本年5月に公表した再編・整備計画三次案については、関係する旧通学区内の小中学校に加えて、全ての特別支援学校に周知しています。さらに、7月から9月にかけて、再編対象校の所在する自治体を中心に県内19の会場で延べ42回の住民説明会を開催するなど、計画案を地域住民に説明し、意見を伺っております。  特に、子育てに忙しい小中学生の保護者や新型コロナウイルス感染症の感染拡大により住民説明会に参加することをちゅうちょする県民も多いと考え、8月29日に説明動画をホームページで公表するとともに、オンラインによる意見募集も行っているところであります。  次に、定時制高校を希望する子供のニーズへの対応についてでございます。  現在の定時制高校では、働きながら学ぶ勤労青少年が減少する中、多様な学習歴、生活歴等様々な背景を持つ生徒が増加しています。そのため、勤労青少年に高校での学びを保障するという従来の役割に加えて、多様な生徒の学び直しの場、進学や就職など将来の進路を見据えての学びの場、さらに積極的に自己実現を図る場としての役割を担っている状況であります。  こうした状況を踏まえ、高校改革の中で、通学の利便性を考慮しながら、多様な生活、学習スタイルに合わせ、生徒自らが柔軟に学びをマネジメントする新しいタイプの学校を設置するとともに、夜間定時制を適正に配置することにより、個々の生徒に寄り添い、多様なニーズに柔軟に応えられる学びの環境を整備していきたいと考えております。  高校再編計画でのインクルーシブ教育に関する議論についてでございます。  2018年9月に公表した「高校改革~夢に挑戦する学び~」実施方針において特別支援教育の充実についての方針を示しております。高校再編・整備計画の策定に当たっては、関係する課室間で連携し、議論を重ねてまいりました。  次に、高等学校における特別支援教育の現状と今後の見通しについてでございます。  中学校の特別支援学級に在籍していた生徒のうち、本年度は約45%が公立高校へ進学しています。また、発達障がいの診断のある高校生の割合は3.74%と、この10年間で4倍以上に増加P.251 しております。  このように、高校では、障がいのある生徒も含め、多様なニーズを有する生徒が共に学んでおり、生徒一人一人のニーズに応じた専門性の高い教育の提供が課題であると認識しております。このため、通常の学校で学ぶ生徒が、週の一定時間、障がいの状態に応じた特別な指導を受けることができる通級指導教室を現在県内3校に配置するとともに、特別支援学校3校に高校巡回専任教員を配置することなどにより、生徒それぞれの障がいによる学習上や生活上の困難さを改善、克服できるよう取り組んでおります。  今後は、通級指導教室の指導内容の充実やニーズを踏まえた増設の検討のほか、高校と特別支援学校との人事交流の促進や、各校の特別支援教育コーディネーターの連携強化による学校全体の特別支援に関する理解や支援力強化等を引き続き推進し、誰一人取り残されない多様性を包み込む学びの環境づくりに向け、特別支援教育の充実に取り組んでまいります。  県立高校の施設整備についてでございます。  県立高校の施設は、その約6割が昭和40年から50年代に建設されており、現在使用している施設の約8割が築後30年以上、約4割が築後40年を迎えることから、早急に老朽化への対策を取る必要が生じていると認識しております。  施設の老朽化対策については、本年度修繕予算を増額し、各学校からの要望を踏まえながら、県の中長期修繕改修計画に沿った優先度に応じて校舎の屋根や外壁、給水設備等の改修を行っております。  また、トイレについては、かねてより和便器の洋式化や臭いの解消等設備の更新に関する要望が多く寄せられていたため、令和元年度にトイレの使用実態調査を実施いたしました。この調査結果に基づき、令和2年度より、洋式化率の低い学校の生徒の利用頻度の高いトイレから、順次床の乾式化や衛生器具の更新等現在の家庭での生活様式を踏まえた計画的な整備に取り組んでいるところであります。  最後に、高等学校等遠距離通学費の利用状況についてでございます。  現在、高等学校等奨学資金貸付金制度の中で、遠距離通学費として、主たる家計支持者の全収入額が4人世帯の場合約790万円以下の者を対象に無利子で貸与しており、令和3年度の貸与実績は、58名に対し1,204万円でございます。学校種別の内訳は、県立高校が14名、私立高校が44名で、貸付け目的は、寮等の下宿代が39名、交通機関の運賃が19名となっております。  通学費補助についてでございます。  通学費の補助制度につきましては、地域の実情を踏まえ、高校生への通学費補助を行っている市町村もあると承知しておりますが、県内の各市町村の考え方を尊重しつつ、生徒の教育環境を整えてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔47番高村京子君登壇〕 ◆47番(高村京子 君)高校改革におきましては、未来ある子供たち、特に15歳の春を誰一人泣かせない、希望が持てる温かい対応を目指しまして、一切の質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(丸山栄一 君)次に、大畑俊隆議員。       〔20番大畑俊隆君登壇〕 ◆20番(大畑俊隆 君)自由民主党県議団、木曽郡選出の大畑俊隆でございます。  まず、価格高騰下における雇用の確保と企業支援について伺います。  天高く馬肥ゆる秋となりました。水田の稲穂もこうべを垂れ、実りの秋を感じるところですが、社会情勢に目を転じますと、県民生活にとっては厳しい状況になっています。  知事は、4期目初日の9月1日に、公約のうち速やかに取り組む政策をスタートダッシュ・アクション2022として公表しました。  この中で、「確かな暮らしを守り抜く」として価格高騰緊急対策第二弾を策定、実施することとし、77億円余の予算がこの対策に充てられています。  内訳を見ますと、第一弾の対策と比べ、四つの柱のうち、特に生活者への支援、事業継続への支援の増加が顕著となっており、生活必需品やエネルギー価格の上昇の影響を大きく受ける低所得世帯への直接的な支援として、県では、国における支援対象とならない世帯に生活困窮者物価上昇特別対策事業として1世帯当たり3万円を支給することとした丁寧な支援について評価するところであります。  しかし、原油高・物価高騰等は今後も続くことが予想されていく中、県の支援策が一般家庭の生活費の負担軽減や中小企業の経営改善につながらなければ県民の不安は解消できません。  そこで、コロナ禍にあって、ようやく製造業を中心に県内経済も回復基調にありますが、県として県内経済の今後についてどのような見解を持ち、また、県内の円安、原材料の高騰の経営環境が続くことが予想される中、経営体力の弱い中小零細企業の支援・振興策をどのように考えていくのか。産業労働部長にお伺いいたします。  先ほど触れた低所得世帯の支援は、現状において必要な対策でありますが、一方で、現金給付にはおのずと限界があります。確かな暮らしを守り抜くために、雇用の確保と着実な賃金の上昇が必要と考えます。  そこで、現下の物価高騰や社会の不安定性を踏まえ、雇用の確保、賃金の上昇を実現するための施策について、中長期的な視点で県としてどのように今後取り組んでいくのか。産業労働部長にお伺いいたします。  また、中小企業が原油や原材料の価格高騰によりかつてないほどの厳しい経営環境について、県として事業継続への様々な支援策を打ち出していることは評価するところであります。  一方、最低賃金の引上げに対する環境整備やインボイス制度の導入の課題、ゼロカーボンやDXの様々な事業環境への対応の支援など、特に中小・小規模事業者の支援体制を拡充強化することも重要であり、経済4団体からも要望が出てきていますが、この点について県としての対応策を産業労働部長にお伺いいたします。  続きまして、確かな暮らしを形成するためのキャリア形成等についてお伺いします。  バブル崩壊後20年間、サラリーマンの賃金がなかなか上がらず、日本の少子化、そして団塊の世代が2022年から75歳以上になっていく中で、医療や介護を中心に社会保障費が増加していくことが予測され、それは政府の想定以上に増加してきています。  また、皆年金・皆保険制度が完成した1961年当時、1人の高齢者を労働人口11人で支えていましたが、現在では僅か1.9人で支えなければいけなくなってきており、将来における社会保障の担い手がなくなり、その維持も危険な状況にあります。そして、膨らみ続ける社会保障費は、2022年の政府予算で36兆円と過去最大となり、全予算の33.7%に及んでいます。  しかしながら、日本の公的年金保険を含めた社会保障制度は、小負担中給付いう大きな構造的な問題を抱えています。ヨーロッパ、北欧を見ると、負担と給付のバランスを回復させた上で年齢フリーの原則の社会へと移行しています。つまり、年齢に関わりなく、働ける人は全て働いて負担し、給付も、年齢に関係なく困っている人に集中するという考え方です。  全世代型社会保障を意味するものは、社会保障の給付が年金、医療、介護といった高齢者向けが中心であったことから、給付面では、幼児教育の無償化といった子育て支援などを強化する一方、高齢者などの就労促進を通じて社会保障制度の支え手を増やそうとしています。  しかしながら、バブル崩壊後、グローバル経済の躍進、デフレ経済と、平成、令和の30年間は成長も鈍化し、気がつけばサラリーマンの年収は先進国では最下位に近く、賃金上昇がないまま推移してきました。よって、県民の生活については、将来の不安と対峙していかなければならないわけでありますが、知事の公約である「確かな暮らしを守り抜く」を実現していくためにも、日本の最大の課題となっている現行の社会保障制度に触れつつ、質問をしていきたいと思います。  全世代型社会保障制度の構築のためには、年齢に関わりなく、働ける人は全て働き、それに応じた負担をし、社会保障制度の支え手を増大させていくことを前段申し上げました。  そこで、まず70歳まで働き続けられることを企業が雇用体系の中で位置づけていくこと、また、働く女性が、キャリアを諦めることなく、子育てをしながら働くことのできる環境の確保は、出生率の向上、また、社会保険加入者の増大にもつながるものであり、それぞれが極めて重要と考えます。長野県として、どのように県内企業へ70歳までの就労、そして女性のさらなる勤務環境改善を促していくのか。産業労働部長に伺います。  男女問わずまず70歳までの就労を促す中で、変化する時代に適応し、誰もが主体的にキャリア開発をしていける環境をつくる必要があります。今後の日本の働き方については、雇用保障の下で様々な仕事の経験を積み、職業人生の中盤以降に特定分野を決め、転職も視野に入れながらキャリアアップすることも一つの方法と考えます。  県として人生100年時代を想定していくとき、確かな暮らしの確保のためには、学齢期からの人生プラン、特に、将来を見据え、時代の変化に対応できるキャリア教育が重要であると考えます。  そこで、県として、今後の子供たちのキャリア教育についてどのような見解を持っているのか。また、今後も目まぐるしく変化していく時代の中にあって、いかに子供たちの個々の能力を引き出し、ICT時代に適応させていく力を育むのか。教育長にお伺いいたします。  また、社会の人間関係が希薄になっていく日本社会において老後を助け合う共助の精神を養っていくためには、特に義務教育9年間の教育の在り方が極めて重要となってきています。ICT中心の教育の功罪を予測し、先進教育を進めなければなりませんが、子供たちの情緒的な思考を伸ばしていくためにどのような教育を今後目指していくのか。教育長にお伺いいたします。  また、子供たちのキャリア形成を育む中で、教育の質の向上もより一層図っていかなければなりません。教育の地域間格差も同時に解消していかなければなりませんが、今後、長野県として、都市部の論理を中山間地域の教育に当てはめることなく、教員の配置の偏在、また専科教員の課題等を解消していくことが重要と考えますが、教育長の見解をお伺いいたします。  高校において、将来を決定していく大事な時期、特に大学等への進学については、単に大学等の受験教育を指導するだけでなく、次なる時代に適応した能力を身につけていくことの大切さを生徒たちに教育し、進学指導されることや、また、今後の日本社会をしっかりと見極め、指導していく能力が現場に必要になっていくものと考えますが、今後の進路指導についての見解とその対応策について教育長にお伺いいたします。  これからの就職、キャリア形成については、大学等で身につけたスキルが全てではなく、常にスキルアップを図っていかなければ、今後のICT、AIの進化により職を失うことになりかねません。働く人の学び直しやリスキリングといった、新しいことを学び、新しいスキルを身につけ、実践し、そして新しい業務や仕事に就くことは、雇用を守るとともに、企業の生産性向上や賃金の底上げ、産業構造の変化に対応していく上で有為な人材を確保するためにも重要な取組であると考えます。また、旧来の終身雇用の転換点を迎え、時代に即した産業への雇用の流動化が進んでいくことは確実であります。  こうした中、県として、雇用の流動化について企業の意識改革を促すとともに、従業員の学び直しやリスキリングの取組をどのように支援していくのか。また、時代の変化を見据え、その支援をどのように対応させていくのか。産業労働部長にお伺いいたします。  長野県は、以前から、県民の健康増進を図るため、極めて質の高い取組を行ってきており、その成果がしあわせ信州創造プラン2.0の政策評価を見ても分かるわけですが、先般、木曽病院の濱野病院長との意見交換の中で、今後は医療費のかからない健康な高齢者となる施策が重要と言われました。  そこで、医療費のかからない高齢者となるための健康づくりを推進し、積極的に施策を講じていかなければなりません。社会保障費の抑制の観点からも、医療費のかからない高齢者となることを県民一人一人の関心事にするためには各自治体の連携も重要と考えますが、県として、医療、介護に関わる費用抑制を見据え、各自治体との連携の下、実効性のある健康寿命延伸のための対策にどのように取り組んでいるのか。健康福祉部長にお伺いいたします。  社会保障をめぐる環境の変化の中に日本の低所得層の拡大があります。2014年の時点で、既に世帯収入が300万未満の世帯は50%を超えており、今後の社会保険料については、現役世代への集中を減らし、世代間の公平を図ることが急がれ、冒頭申し上げました小負担中給付から、まずは中負担中給付を実現するために、県民一人一人への応分な負担を今から準備しなければならない現状が日本にはあります。  そこで、若いうちから資産形成をしていく上で、本年度から学習指導要領が改訂され、高校の家庭科の授業において金融教育が必修化されました。  金融教育においては、ライフプランに応じた資産形成の考え方、老後の資産形成についても学習することになっており、この中で社会保険についても触れられています。先ほど触れたとおり、今後社会保険の負担は増加せざるを得ない状況にあり、金融教育の中でこうした将来の心構えについても理解を深めてもらえるように望むものであります。  一方で、金融教育専門の教員はおらず、指導する教員にとっても不安があり、授業の質が担保されるかといった点で課題があると考えます。そこで、専門家の力を借り、より実践的な知識を安定的に身につけられる工夫が必要と考えますが、現在の取組と今後の方向性について教育長に所見をお伺いいたします。  長野県の次期総合計画が策定される時期にあって、今後、10年、15年を見据えた計画策定が長野県を力強く成長させ、地方が少子高齢化に耐えられるよう時代の変革に合わせた取組が必要となります。  この点について、長野県として、県民の暮らしを守るために、まず県内企業の収益を伸ばしていくことが重要であると思います。特に、長野県の主力産業である製造業について、県として既存の企業の持続性を図りながら、いかにゼロカーボン社会、グリーン社会に向けた成長産業の創出を図り、企業の収益を上げていくための支援を行い、また今後の計画を描いているのか。産業労働部長にお伺いいたします。  最後に、知事4期目の選挙公約において、4年間の基本目標の一つとして、「確かな暮らしを守り抜く」を掲げております。全ての選挙公約を原則として次期総合5か年計画に反映させることとしておりますが、確かな暮らしを守り抜くため、次期総合5か年計画においてどのような施策展開を図ろうとするのか。知事にお伺いいたします。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)順次お答えいたします。  初めに、価格高騰下における雇用の確保と企業支援について3点の御質問をいただきました。  まず、県内経済の今後についての見解と中小零細企業の支援、振興策についてのお尋ねでございます。  9月6日に日銀松本支店が発表した金融経済動向によると、長野県経済は、一部に弱い動きが見られるものの、持ち直しの動きが続いているとされております。しかし、業種により状況は異なっており、引き続き感染症による内外経済への影響や供給面での制約、原材料価格高騰の影響に十分留意するとともに、世界的な金融引締めを背景とした海外経済の下振れリスクにも注意していく必要があると考えております。  県では、これまで、中小企業融資制度資金による資金繰り支援や県産業振興機構による価格交渉サポートセミナーの開催、下請かけこみ寺による適正な価格転嫁の促進支援、中小企業エネルギーコスト削減助成金による省エネ設備等の導入支援などに取り組んでまいりました。  さらに、今回策定の価格高騰緊急対策第二弾においても、経営健全化支援資金の貸付限度額の引上げ、中小企業エネルギーコスト削減助成金の増額、飲食店の需要喚起を図るためのプレミアム付食事券の発行などの支援策を盛り込んだところです。  今後とも、県内経済の状況を注視しつつ、適時適切な支援を講じてまいります。  次に、雇用の確保、賃金上昇の中長期的取組についてのお尋ねです。  先頃長野労働局が公表した最近の雇用情勢では、8月の県内有効求人倍率は1.59倍と高水準を維持しております。  他方で、月間有効求職者数は3万人を超える規模で推移しており、求人はあるものの、雇用に結びつかないミスマッチが顕在化しています。このため、スキルの習得などにより、分野を超えた労働移動の促進が必要であると認識しているところです。  県では、民間活用委託訓練において、特に人手が不足している介護、建設分野や、成長が期待されるIT分野の定員を昨年度の628人から707人に拡充するとともに、国のポリテクセンターの求職者支援制度とも連携しながら各種技能や資格の取得をサポートしているところです。  また、今年度から新たに開始したITスキル習得・再就職トータルサポート事業「デジチャレ信州」では、定員60名に対して約4倍の232名から応募があり、その期待の大きさを実感したところです。今後、着実な就労に結びつくよう、寄り添ったキャリアコンサルティングを行ってまいります。  他方、賃金上昇のためには、生産性向上など経営面での取組が重要となります。最低賃金の引上げを支援する国の業務改善助成金の活用や県プラス補助金、最低賃金枠の要件緩和など経営面での支援を拡充してまいります。
     次に、中小・小規模事業者への支援体制の拡充強化についてでございます。  昨日知事から御答弁申し上げたとおり、商工会及び商工会議所は、小規模事業者等の経営安定化を図るため、事業継続計画の作成や事業承継等の課題に寄り添った支援を行っていただいております。  とりわけ近年は、災害からの復興やコロナ禍における経営支援、物価高騰への対応など大変重要な役割を果たしていただいております。今後、さらにゼロカーボンやDX、インボイス制度など新たな業務の増加が予想されることから、経営指導員の専門性がこれまで以上に発揮される仕組みについて商工団体と議論を重ねているところです。  次に、確かな暮らしを形成するためのキャリア形成等について3点お尋ねをいただきました。  まず、高齢者の就労促進、女性の勤務環境の改善についてのお尋ねです。  県内で70歳以上まで働ける制度を有する企業の割合は41.3%で、全国平均の36.6%を約5ポイントほど上回っており、恒常的な人手不足を背景に、雇用延長により労働力を確保しようとする企業の実態もうかがえるところでございます。  一方、先頃公表された国の出生動向基本調査によれば、第1子出産前後の妻の就業継続率はこの5年間で5割台から7割近くまで上昇するなど、改善傾向にあります。年齢や性別にかかわらず、誰もがキャリアの断絶やキャリアロスがなく、一人一人の能力を生かしていくことは、企業の持続的な経営はもとより、我が国の社会保障制度の安定にも寄与するものと考えております。  県といたしましても、職場環境改善アドバイザーによる企業訪問や職場いきいきアドバンスカンパニー制度の普及等を通じ、勤務環境の改善を促してまいります。  次に、学び直しやリスキリングへの支援と時代の変化への対応についてのお尋ねでございます。  世界規模でデジタル化や脱炭素化の動きが加速し、担い手となる人への投資の重要性が増す中、県では、昨年9月に策定した産業人材育成プラン2.0に基づき、デジタル人材の育成強化や県内で行われるリカレント講座の拡充等学びの環境整備に注力しているところです。  具体的には、工科短期大学校や技術専門校、工業技術総合センターにおけるスキルアップ講座や技術講座の拡充、働く人の学び直しの場拡充支援事業や企業内IT人材育成講習事業などに取り組んでおります。また、社会人学びの総合ポータルサイトの構築により、情報発信や意識啓発を強化してまいります。  現在、国では、人への投資を抜本的に強化するため、2024年までの3年間に4,000億円規模の予算を投入する施策パッケージを講じ、働く人が自らスキルアップし、デジタルなど成長分野へ移行できるよう支援することとしております。こうした取組とも連携しながら、引き続き学び直しやリスキリングの取組を進め、着実な就労と良質な雇用につなげてまいります。  最後に、グリーン社会に向けた製造業への支援についてでございます。  2050年のカーボンニュートラルに向け、脱炭素化が加速する中、既に目標を達成しつつあるグローバル企業はサプライチェーンに対してもグリーン化を求めてきており、県内企業も対応を急ぐ必要があると認識しております。  県では、長野県ゼロカーボン戦略に基づき、製品や技術開発におけるプロダクト・イノベーション、流通や事業活動におけるプロセス・イノベーション、経営理念、マネジメント改革による脱炭素化経営の推進を施策の柱に掲げ、産業振興機構にグリーンイノベーションセンターを設置し、支援をスタートしたところです。  また、ゼロカーボンの取組を企業収益に着実につなげられるよう、産業立地への助成金の拡充、中小企業融資制度による省エネ・再エネの投資促進、ゼロカーボン技術事業化支援事業補助金による製品開発の支援、中小企業エネルギーコスト削減助成金による省エネ・再エネ設備の導入支援、SDGs推進企業登録制度やESG投資の促進など多面的な支援を行っております。今後とも県内製造業が脱炭素化の流れに遅れないようサポートしてまいります。  以上でございます。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君)5点質問を頂戴いたしました。順次お答えしてまいります。  今後のキャリア教育とICT時代に適応する力の育成についてでございます。  県教育委員会では、長野県キャリア教育ガイドラインを作成し、幼児期から高校まで切れ目のないキャリア教育の推進やインターンシップ等による地域企業と連携した学びの充実などに注力してきています。その際、児童生徒一人一人がキャリア・パスポートを作成して学びの履歴をつづり、小中高と引き継いで振り返り、自身の変容や成長を自覚しています。  また、生涯を見通した生活設計について考えるライフプランニング教育にも力を入れております。  このように、社会で果たすべき役割を自覚し、自己の将来を構想する力を養うキャリア教育は、未来予測が困難で変化の激しい時代において今後ますます重要になってくると認識しています。  さらに、現在、全ての学校においてGIGAスクール構想により1人1台端末が整備されており、デジタルスキルが必須である実社会と同じような環境で学ぶことができるようになっています。この環境を生かし、瞬時の情報共有やクラウドを介した意見交換などICTを活用しながら探究的に学ぶ体験を充実させていくことが子供たち一人一人の情報活用能力や課題発見・解決能力などの向上につながり、ひいてはどう社会と関わり、どう生きていきたいのかを構想し続けていくキャリア形成に寄与するものと考えています。  続いて、子供たちの情緒的思考を伸ばしていく教育についてのお尋ねであります。  人間関係が希薄になっていく社会にあって、義務教育段階においては、集団の中で他者と関わり合いながら、共に学び、共に創る、共学・共創が重要であると認識しています。  このため、子供たちの情緒面での育ちを支える学びとして、例えば生徒会活動や学校行事などの特別活動では、仲間と共に目標に向かって取り組む中で、互いの意見の違いや多様な考えを大切にしながら合意形成していくこと。道徳では、困っている人に対し自分はどのように接するかなど、実際に起こり得る場面を想定し、友達と意見を交わすことを通して自分はどうあるべきかを考えること。音楽や美術では、互いの感じ方を尊重しながら感性を育み、美しいものや優れたものに接して感動する豊かな情操を培うことなど、五感を通して思考し、思いを深める学びは、極めて重要であると認識しています。  また、ICT機器は、使うことが目的ではなく、子供たちが個別に最適な方法で学んだり友達と協働して学習する際に積極的に活用できる道具であります。県教育委員会としては、ICT機器を活用して互いの思いや考えを瞬時に共有したり、離れたところにいる人とオンラインで交流するなどリアルとデジタルの最適な組み合わせによる学びを推進し、自ら考え、他者と協働し、助け合いながらよりよい社会をつくっていく当事者となれるような教育を一層充実してまいりたいと考えています。  教員配置の偏在、専科教員の課題の解消についてでございます。  県土の広い本県においては、地域間格差がないように全県的な教育水準を維持することが大切なことであると考えています。しかしながら、中山間地域においては、地元出身の教員の割合や異動希望者が都市部より少ないことなどにより、年齢構成の偏り等教員配置の偏在が起こりやすいことが課題であると認識しています。  このため、人事異動方針において、原則全ての教員が中山間地も経験するように定め、全県的立場に立った人事異動に努めるとともに、小中学校においてはブロックごとに採用数を設定した採用を行い、高等学校では中山間地校等で勤務する教員を募る公募制度を推進し、教員配置の偏りの解消に取り組んでいます。  また、小中学校の専科教員につきましては、学級数に応じた教職員配当基準に照らして配置しているところですが、小規模な中学校では全ての教科の教員を配置することが困難であり、その場合は非常勤講師を複数校兼務で追加配置しているところであります。  しかしながら、地域によっては学校間の距離が離れているため、複数校兼務が難しい場合もあり、できるだけ負担なく勤務ができるようにさらに兼務校を工夫して配置するなど、教育の充実を図ってまいります。  次に、高校における今後の進路指導についての見解とその対応策についてでございます。  現在の大学等の入学者選抜では、思考力や表現力、主体性などをより重視する総合型選抜や学校推薦型選抜による進学者の比率が増加傾向にあります。また、偏差値偏重ではなく、自分の興味に基づいた探究的な学びや様々な社会現象について考える教科学習によって学習意欲や思考力等を育む学びの充実が求められています。  このような中で、今後、生徒の多様な進路実現を保障していくためには、議員御指摘のとおり、一人一人の教員が今後の社会を見極め、次なる時代に適応した資質、能力を育む授業改善や進路指導ができる力を養うことが必要であると考えます。  社会情勢の分析とともに、生徒一人一人のライフプランを長いスパンで考え、生徒の興味があること、やりたいことに寄り添い、対話や適切な助言を通して、主体的な進路選択を促す生徒中心の指導が各校で行われるよう、先進的な指導事例を共有する研修会などの充実に努めてまいりたいと考えています。  最後に、高校の家庭科における金融教育についてのお尋ねでございます。  高校の家庭科では、最初に自分のライフプランを立てた上で、人生を豊かに過ごすための経済的手段として金融商品のメリット、デメリットや資産形成について学ぶことにより、生徒が生涯を見通した生活を設計できるようにする授業を行っております。  金融システムが多様化する中で、金融教育を指導する教員の専門性を高めたり、金融に関する内容を生徒が深く学んだりするために専門家の力を借りることが必要であると考えています。このため、今年度、全ての県立高校の家庭科教員が参加する研究協議会において、長野県金融広報委員会から外部講師を招き、「高校生のための金融教育」と題した模擬授業を実施して授業のポイントを学んでおります。また、金融教育を支援するファイナンシャルプランナー等の専門家を学校の授業に招き、生徒が模擬的に資産運用を体験する等の取組も浸透してきております。今後とも、専門家との協働により、教員を対象とした研修の充実や金融教育授業プログラムの研究開発などを通じ、金融教育の充実に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)私には、実効性のある健康寿命延伸のための対策について御質問をいただきました。  県は、これまで、県内の全市町村、保険者、民間企業等264団体で構成された推進ネットワークを中心に、健康づくりの県民運動である信州ACEプロジェクトによりまして健康寿命の延伸に取り組んできたところでございます。  今後につきましては、御指摘のとおり、増加し続ける医療、介護にかかる費用の抑制も見据えて効果的な取組を行っていくという視点が必要であると考えております。  具体的に例を挙げますと、高額な医療費を要する人工透析、これは糖尿病の重症化等によりまして腎不全となることで必要となってまいりますけれども、そうした腎不全ですとか、あるいは介護の主要な原因となる脳血管疾患をはじめとした循環器病、こうした生活習慣が発症に影響する特定の疾病を念頭に置いてその予防を図るために健康づくりをしていく、こうした取組に注力していくことが必要であろうと考えております。  取組の中身といたしましては、糖尿病の重症化するリスクが高い方に対する効果的な支援体制づくりでありますとか、減塩の推進等が挙げられるわけでございますけれども、こうしたことにつきまして、予防活動の最前線を担う市町村等と認識を共有しながら重点的に進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、確かな暮らしを守り抜くため、次期5か年計画でどのように施策展開を図ろうとするのかという御質問をいただきました。  今回、公約の中では、「確かな暮らしを守り抜く」ということで、今直面している危機、それから、中長期的な危機を挙げて、何とかこれを乗り越えていきたいということを訴えさせていただいたところであります。  地球環境や国内外の社会経済情勢が大きく変化をする中で、様々なリスクへの予防、備え、そして、こうしたリスクが顕在化した場合の影響の最小化、こうしたことに努めていかなければいけないというふうに考えております。  4回目の選挙でありましたけれども、私としては最も危機感を持っているのが現状であります。当面、新型コロナ、物価高騰、直面する危機を何とか乗り越えなければいけませんし、まさに顕在化してきている気候変動、そして、気候変動に伴う大規模災害、さらには、人口減少、それらに伴う国内経済の需要面での減少、あるいは産業の担い手不足、さらには我々行政が支えてきている公共インフラの老朽化といった、様々な課題に直面しているわけであります。  今後、そういう観点で総合5か年計画を取りまとめていくわけでありますが、例えば、気候変動対策のように、これまでの取組をより加速化していかなければいけない部分があります。また、最も効果的なものにしっかりと重点化を図っていかなければいけないというふうに思っています。そして、何よりも、これまでの施策で必ずしも十分でないというようなものについては、しっかりとした政策転換を図っていくということが必要だというふうに思っております。  今、内部的な検討を行っているわけでありますけれども、今申し上げたような危機的な状況をしっかり認識した上で、そうしたものに的確に対処できるような計画を策定していきたいと思いますし、その先には本当の意味で豊かな長野県、明るい信州の未来を切り開いていきたいと考えております。  以上です。       〔20番大畑俊隆君登壇〕 ◆20番(大畑俊隆 君)それぞれ御答弁をいただきました。  知事におかれましては、今後の不確定、不確実な社会の変化の中にあって、4期目の県政のかじ取りは大変厳しいものと予測され、極めて重要な4年間となります。県民の確かな暮らしを守り抜くといった強いメッセージに対して、県民からの信頼にしっかり応えていただくことをお願い申し上げ、以上で一切の質問を終了いたします。 ○議長(丸山栄一 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(丸山栄一 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、来る10月3日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後3時59分延会...